FRBのバー副議長は規制見直しの具体論には踏み込まず(ワシントン)=ロイター

【ニューヨーク=斉藤雄太】米連邦準備理事会(FRB)のバー金融監督担当副議長は15日の米議会証言で、昨夏に提案した米銀の資本規制強化案について「広範かつ重要な変更がなされるだろう」と語った。自己資本の大幅な積み増しを求める内容に銀行界が猛反発していることを踏まえ、当初案を見直す考えを示した。

バー氏は米議会下院の金融サービス委員会が同日開いた金融規制当局首脳の公聴会で証言した。規制強化案の見直しによって「米国の家計と企業により良いサービスを提供する、より安全な金融システムを構築することができる」と述べた。具体的な修正内容や時期などには踏み込まなかった。

FRBと米連邦預金保険公社(FDIC)、米通貨監督庁(OCC)は2023年7月、資産1000億ドル以上の大手・中堅銀行を対象とする資本規制強化案を公表した。銀行業務で生じる各種リスクを厳しく見積もり、それに見合うよう自己資本の上積みを求める内容だ。対象行の中核的自己資本の必要額は計16%増えるとの試算も示した。

銀行側は野党の共和党や融資などの金融サービスを利用する様々な業界団体を巻き込み、資本規制の大幅な強化に反対するキャンペーンを展開してきた。当局による規制強化案の見直しは銀行側にとっては歓迎できる動きだが、修正案や再提案の内容で折り合えるかはまだ不透明だ。

この日の公聴会では、FDICの職場文化をめぐってグルーエンバーグ総裁への批判も相次いだ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが昨年11月、FDIC内で職員のセクハラや差別といった不適切な行為が横行していると報じ、FDICが法律事務所に依頼した調査でも同様の問題が長年起きていたことが明らかになった。

共和党議員からはグルーエンバーグ氏の辞任を求める声が上がり、一部の民主党議員も同氏への不信感を示した。グルーエンバーグ氏は自らの失敗や責任を認めて陳謝したうえで、職員が安全で尊重される職場にすることが自身の責務だと訴えた。

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