学校の教室(写真はイメージ)=ゲッティ

 202時間、184時間、178時間――。長時間労働による過労を訴える東大阪市の教員が、自身の残業時間が分かる資料を民事裁判を通じて市側に求めたところ、他の教員も「過労死ライン」(直近1カ月で100時間以上、直近2~6カ月で平均80時間以上)を大幅に超えていたことが判明した。

 訴状によると、東大阪市立中学の男性教諭(43)は2021年度から理科の授業や学年主任、進路指導主事を担当し、野球部の顧問も務めていた。21年9月から無気力感や食欲不振などの症状が出たため、校長に「業務量を減らしてほしい」と訴えたが、改善されなかったという。11月に適応障害と診断され、約1年間休職した。発症前7カ月の残業は土日の部活動指導も含めて月92~173時間に上ったという。

 男性は23年3月、市と府に慰謝料など計330万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。学校が把握している男性の労働時間を尋ねたところ、市が地裁に資料を提出した。資料には21年4~10月に残業時間が多かった順に教員が並んでおり、21年6月は最多の教員が202時間、男性は6番目に多い154時間と記されていた。

 過労死や過労自殺を防ぐため、労働安全衛生法は残業が月80時間を超えた人が申し出た場合、医師の面接指導を事業者に義務付けている。男性は自身が面接の対象になることを知らず、申し出ていなかった。管理職から受診を促されることもなかったという。男性の代理人を務める松丸正弁護士(大阪弁護士会)は「長時間労働が確認されれば、本人が申し出なくても医師面談を実施する仕組みに変えるべきだ」と指摘する。

 東大阪市は「校長は男性の業務を他の教員に分担させるなど具体的な対策を取っていた」として請求棄却を求めている。【安元久美子】

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