警察庁は18日、大型や中型の運転免許にオートマチック(AT)車限定の免許を導入する方針を決めた。大型のバスやトラックにAT車が増えた状況に合わせ、運転手不足が深刻化する2024年問題での業界の要望も踏まえたという。

 警察庁は19日から来年5月18日までパブリックコメントを行い、道路交通法施行規則などの改正を目指す。26年に中型(客を運ぶ車の運転に必要な2種含む)と準中型免許に、27年に大型免許(2種含む)にそれぞれAT免許を導入する計画だ。

 AT免許の導入に伴い、免許を取得する際の指定教習所での技能教習や、運転免許試験場での技能試験の内容も見直す。大型や中型のAT免許を取得する場合の教習時間は、マニュアル(MT)車にも乗れる免許よりも4時限(計3時間20分)短くなり、その分、教習にかかる費用も安くなるという。MT免許を取得する場合も、クラッチとギアの操作の教習だけMT車を使い、ほかはAT車で行うようになる。

 普通車の場合、AT車の普及に合わせて1991年に2種を含めAT免許が導入された。2022年には、普通免許(2種含む)を取得した約119万人のうちAT免許が73%を占めた。

 トラックやバスにもAT車が増えた。日本自動車工業会の調査では、運輸業界が22年に保有する車両の34%がAT車で、その割合は増加傾向にある。日本自動車販売協会連合会や警察庁による聞き取りでは、23年に販売された大型バスの約9割、大型トラックの約7割をAT車が占め、メーカーや運輸事業者の多くが今後もAT車の生産や保有を増やす意向だという。

 トラックやバスの運転手は年々減少しており、22年時点でトラック運転手は約86万人だった。日本バス協会は昨年8月、大型2種へのAT免許の導入を求める要望書を警察庁に出した。

 運転手不足の中で、女性の運転手は22年時点で3万人と、5年間で1・5倍に増えた。普通免許の取得者では、女性は9割がAT免許といい、大型や中型へのAT免許の導入で運転の担い手の確保につなげたい考えもあるという。

 警察庁は2024年問題への取り組みの一環として、今月から大型トラックの高速道路での最高速度を時速80キロから90キロに引き上げた。(板倉大地)

AT免許の導入後(★が新規、・は既にある)

・MT大型免許(車両総重量11トン以上)

★AT大型免許

・MT中型免許(同7.5トン以上11トン未満)

★AT中型免許

・MT準中型免許(同3.5トン以上7.5トン未満)

★AT準中型免許

・MT普通免許(同3.5トン未満)

・AT普通免許

・MT大型2種免許(乗車定員30人以上)

★AT大型2種免許

・MT中型2種免許(同11人以上29人以下)

★AT中型2種免許

・MT普通免許(同10人以下)

・AT普通2種免許

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