鉄道線路をまたぐ橋「跨線橋(こせんきょう)」の点検業務の入札で談合を繰り返した疑いがあるとして、公正取引委員会は22日、JR東海(名古屋市)と建設コンサル5社に対し独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査した。関係者が明らかにした。公取委によるJR東海への立ち入り検査は初めて。
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他に立ち入りを受けたのはJR東海の完全子会社JR東海コンサルタンツ(名古屋市)、トーニチコンサルタント(東京都渋谷区)、日本交通技術(同台東区)、大日コンサルタント(岐阜市)、丸栄調査設計(三重県松阪市)。
関係者によると、談合の疑いがあるのは東海・中部地方の自治体や国土交通省中部地方整備局、中日本高速道路(ネクスコ中日本、名古屋市)などが発注する跨線橋の点検業務の入札。対象の跨線橋は愛知、三重、岐阜、長野、静岡各県などを通る10路線にあり、車両用の道路橋と歩行者用の人道橋などがある。
笹子トンネル事故を契機に義務づけの点検
2012年に中央道笹子トンネル(ネクスコ中日本管理)で9人が死亡した事故を受けた道路法改正で、14年から道路橋を含む橋やトンネルを5年に1度点検することが義務づけられた。
跨線橋の多くは県や市町村などが管理し、点検業務を発注している。JR東海の10路線内で、国交省中部地方整備局が管理する跨線橋だけで129橋あり、昨年度までに2度の点検をしたという。
関係者によると、点検業務は跨線橋ごとに指名競争入札などで発注され、JR東海とコンサル5社は事前に決めた事業者がそれぞれ点検業務を受注できるように調整した疑いがある。公取委は、各社が受注価格の低下を回避するために談合を繰り返していたとみて、実態解明を進める。
JR東海は、公取委の検査に「全面的に協力してまいります」などとコメントした。(高島曜介)
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