長期休館中の奈良県立民俗博物館(県立民博、大和郡山市)について、県は有識者による検討委員会を発足させると21日、発表した。収蔵品の収容スペースが足りないことから、どういったものを保存するか、ルールを明確化するという。
検討委の名称は、「民俗資料収集・保存方針等検討委員会」。メンバーは、樫村賢二・鳥取県立博物館主任学芸員や川辺咲子・国立歴史民俗博物館特任助教、下山朗・大阪経済大教授、伊達仁美・京都芸術大名誉教授、日高真吾・国立民族学博物館教授の5人。来年度末までに方針を策定し、方針に基づいて資料を整理して2027年度の再開をめざす。
県立民博では収蔵品が入りきらず閉校した高校などで保管を続けてきたことから、山下真知事は7月、「価値あるものは残し、それ以外は廃棄処分を含めて検討せざるを得ない」としてルールづくりの必要性を指摘していた。昨年の有料入館者は約2800人にとどまり、山下知事は21日の定例会見で、「どういう展示なら来場者が増えるか、議論してほしい」と期待を示した。
県文化財課によると、県立民博は昨年度、陰陽師の祭具など135点を福井県に、漆かきに関する道具15点を五條市に、館長決裁でそれぞれ無償で譲渡した。県は「規則上問題ない」との見解だが、廃棄や売却を含む「除籍」のルールを今後改めて策定するとみられる。
また、3Dスキャナーを用いたデジタルアーカイブについて、「(収蔵する)4万5千点すべてをやるのは非現実的」(杉村和彦課長)とみており、何を3Dデータで保存するかも検討委の議論の対象となりそうだ。(机美鈴)
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