旅行アプリを運営するスカイスキャナージャパン(東京都港区)は、2025年の旅行者の趣向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を公表した。同社が保有する検索ビッグデータと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした調査結果を分析。人気の旅行体験を七つに分類するとともに、検索数が増えた旅行先や航空運賃が値下がりした旅行先をランキングした。
レポートは、25年の旅行を象徴するキーワードとして「コミュニティーや集団で共有できる体験」を挙げた。そのうえで、重視される旅行体験を▽スポーツ▽リフレッシュ▽アート▽星空▽西部劇▽自然▽ゲーム――に分類。自然の美しさや文化的な魅力を手ごろな費用で楽しめる旅行先に人気が集まっているとした。
日本人旅行者についてみると、全体の42%が旅行先を選ぶ際に「文化」を最も重視。特にデジタル技術を駆使した「没入型アート」が若い世代を中心に人気で、25~34歳の31%が「25年に体験する予定」と回答した。また、今夏のパリ・オリンピックの影響もあってスポーツへの興味・関心が高まっている傾向もみられ、日本人旅行者全体の37%が「25年にスポーツ観戦の旅行予定がある」と答えた。
一方、24年中の渡航を対象に、今年1~6月のフライト検索数が前年同時期と比べてどれだけ増加したかを行き先ごとに順位付けした「旅先トレンド」と、同様にエコノミークラス往復航空券の価格の下落率を順位付けした「コスパ最強の旅行先」も公表した。
「旅先トレンド」のトップは、検索数が300%増えたカンボジアの主要都市、シエムレアプ。アンコールワット遺跡群への玄関口として知られ、有名な観光スポットも多く「ユニークな文化体験をリーズナブルな価格で楽しみたい人には魅力的」(同社)だという。4位には、オーロラ観賞ができるフィンランドのロバニエミ、5位にはサッカーの久保建英選手が所属する「レアル・ソシエダード」があるスペインのサンセバスチャンが入った。
「コスパ最強の旅行先」のトップは、タイ南部のビーチリゾート「クラビ」(下落率37%)。同社は「豊かな自然の美しさと海を楽しむためのアクティビティーが豊富で理想的なリゾート地」と解説する。割高なイメージのある欧州でも、4位にスペインのマドリードや7位にイタリアのベネチア、9位に英国のロンドンがランクインした。
世界的な物価高を受け、旅行業界では人工知能(AI)やダイナミックプライシング(価格変動制)など、需給バランスを保つための新技術を導入している。スカイスキャナージャパンによると、日本では旅行者の24%が25年の旅行を計画する際にAIの活用を望んでいるという。同社は新技術を活用することで「これからも時間とお金の節約をお手伝いしていく」としている。【嶋田夕子】
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