今回は東大の一般選抜と学校推薦型選抜の合格者を合わせた、「東大に強い学校ランク」をお届けする。
東大人気は安定しており、2024年度の一般選抜の志願者は前年を126人上回る9432人だった。ただ、文科類と理科類に分けてみると、文科類は文Ⅰと文Ⅱが減少したことにより40人減。文Ⅰと文Ⅱでは、予定倍率を超えた時に行われる第一段階選抜が実施されなかった。両科類ともになかったのは、16年度入試以来だ。予備校関係者は言う。
「官僚や法曹に魅力を感じない高校生が増えているのでしょう。一般企業に就職するなら、早慶でも変わらないと考える受験生が多くなっているのだと思います」
理科類は理Ⅱと理Ⅲが減少したものの理Ⅰが166人増。理科類全体として志願者が増えているのは、私立大との学費や研究環境などの差にあるようだ。それでは東大の学校別合格者数ランキングを見ていこう。
1位は43年連続でトップの座を守り続けている開成で、合格者数は前年より1人多い149人。開成の合格者が前年並みに留まる中、合格者が前年を22人上回る100人となり、開成との差が前年の70人から49人まで迫ったのは2位の聖光学院。全合格者に占める現役生の割合をみると、開成の78・5%に対し86・0%と上回っている。
「学校がある横浜市に大手予備校がなかった時代から、優秀な教員による塾に頼らない指導が行われてきた。難関大進学実績が上がり、優秀な生徒が増えてきたことも、東大合格者の伸びにつながっている」(塾関係者)
ちなみに、1964年以降、東大合格者が100人を超えた学校は筑波大附、筑波大附駒場、東京学芸大附、戸山、西、日比谷、麻布、開成(いずれも東京)、桐蔭学園(神奈川)、灘(兵庫)、ラ・サール(鹿児島)の11校のみで、聖光学院は12校目の100人超えの学校となった。
灘は前年の合格者数を8人上回る94人だが、聖光学院の合格者が伸びたことにより前年と同じ3位。筑波大附駒場は3人増の90人ながら、前年の2位から4位に順位が下がっている。
5位は奈良にある学校ながら、合格者が京大から東大にシフトしている西大和学園。合格者は2人減少したが、前年の7位から順位を上げた。
主要な科類別の一般選抜の合格者数も見ておこう。まず、主に医学部に進学する最難関の理Ⅲは、開成、灘、桜蔭の3校が12人で並び、筑波大附駒場8人、東海(愛知)5人が続く。桜蔭の東大総合格者63人のうち、2割を理Ⅲが占めることになる。
主に法学部に進学する文系最難関の文Ⅰは、開成の19人が最多で、以下、筑波大附駒場15人、聖光学院13人、日比谷11人、桜蔭、早稲田(東京)、西大和学園が各10人。近年の女子の法学部人気の高まりもあり、女子校の桜蔭、共学の日比谷や西大和学園がランクインしていることが特徴だ。
井沢秀
いざわ・しげる 大学通信情報調査・編集部部長。1964年2月6日、神奈川県生まれ。明治大学卒業後、受験情報・分析を主力事業とする大学通信入社。大学の入り口(入試)から出口(就職)まで、情報を収集し発信中。中高・大学受験の案内書・情報誌を編集するほか、新聞社系週刊誌、経済誌などへの情報提供と記事執筆を行う。
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