(18日、春季関東地区高校野球大会2回戦 昌平8―0武相)

 昌平(埼玉)の3番・山根大翔(だいと)の一打は、流れを引き寄せる、豪快なものだった。

 一回、安打と四球でいきなり無死一、二塁の好機が回ってきた。その初球、狙っていた直球を捉えた。「少し(バットの)芯の先だけど、体重は乗っていたから……」と手応え十分の当たりは右翼席へ。先制3ランで、神奈川1位の武相の出ばなをくじいた。

 六回の第4打席では甘めのスライダーをバックスクリーン右への2ランにし、7回コールド勝ちを呼び込んだ。公式戦での1試合2発は「人生初。うまくいきすぎて、ちょっと怖い部分がある」と振り返った。

 昌平は春夏を通じて甲子園出場はないが、近年力をつけている。2021年秋のドラフト会議では、外野手の吉野創士が東北楽天イーグルスに1位指名され、同校初のプロ野球選手となった。

 新チームは左打ちの山根、右打ちの桜井ユウヤら強打が持ち味。ただ昨秋の関東地区大会1回戦で山梨学院に延長戦の末に敗れ、今春の選抜大会出場はかなわなかった。今春から完全移行となった低反発となる新基準バットに対応すべく、冬場はロングティーなど打撃練習に力を入れてきた。

 山根も「体重を乗せて打つ意識でやってきた」が、春季県大会は力んで「体が開き気味になって、バットが出なかった」。春季県大会決勝では花咲徳栄に6―20で敗れ、2位に終わった。県大会の反省から、力を抜き「インパクトの瞬間」だけを意識して、関東大会へ調整してきた。

 この日、4番の桜井にも一発が出るなど、チームの10安打のうち長打が5本。おのおのが練習成果を存分に発揮した。「1人ひとりが打席の中で集中してくれた」と岩崎優一監督。山根は「投手陣は仕上がっている。だからこそ野手が頑張れば、甲子園も見えてくると思う」。(大坂尚子)

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