神戸市で開かれているパラ陸上の世界選手権は、大会4日目の20日、男子走り幅跳び、視覚障害のクラスの決勝が行われ、去年の世界選手権で4位に入った24歳の石山選手が出場しました。
石山選手は3回目の跳躍で今シーズンの自己ベストとなる6メートル85センチのジャンプを見せたあと、4回目は6メートル97センチを跳んで、さらに記録を伸ばしました。
そして、観客に手拍子を求めて臨んだ最後の6回目に、みずからが持つ日本記録を1センチ更新する7メートル8センチをマークして銀メダルを獲得しました。
石山選手は世界選手権では初めてのメダル獲得です。
また、女子400メートル知的障害のクラスの決勝には22歳の菅野新菜選手が出場し、力強い走りを見せ、日本記録を0秒2更新する59秒22のタイムで7位でした。
一方、男子1500メートル視覚障害のクラスの決勝には、東京パラリンピックのこの種目で銀メダルを獲得した46歳の和田伸也選手が出場しましたが、フィニッシュを前に伴走者とを結ぶガイドロープを短く持ったとして失格となりました。
石山大輝「納得いく結果が出てすごくうれしい」
大歓声の中で、みずからが持つ日本記録を更新して銀メダルを獲得した石山大輝選手は、5回目の跳躍までは納得のいく跳躍ができなかったとして「泣きそうだったが、しっかり合わせられて自分の納得のいく結果が出てすごくうれしい。踏み切りを超える失敗をしてしまったのではないかと思ったが、結果的にいい跳躍だった」と振り返りました。
そして、世界選手権では自身初のメダルとなったことについて「皆さんの応援の声が大きく、それが日本記録を1センチ更新できた要因に絶対になっている。後押ししてもらった皆さんのおかげで日本記録を作れたし、神戸の空を飛ばせてもらった。すごくうれしいと思う」と笑顔で話していました。
その上で、パリパラリンピックに向けて「きょう1日だけあほみたいに喜んで、また明日から練習していければいかなと思う」と決意を新たにしていました。
◇石山大輝(いしやま・だいき)選手とは
石山大輝選手は愛媛県松山市出身の24歳。
高校1年生の時に先天性の網膜色素変性症と診断されましたが、高校時代は三段跳びの選手として陸上に取り組み、大学4年生でパラ陸上の走り幅跳びに転向しました。
去年3月に出場した国際大会でのテストで、クラス分けの認定を受けると、スピードある助走から滞空時間の長い跳躍を持ち味に4月の日本選手権では、日本新記録をマークし、一躍注目を集めました。
去年7月には初めて出場した世界選手権で4位に入って日本パラ陸上競技連盟の選考基準に基づいて、パリパラリンピックの代表内定を確実にするなど着実に力を伸ばしています。
和田伸也“ブラジル勢 みんな強い” 男子1500m視覚障害
和田伸也選手は、「自己ベストを出さないとメダルに届かないと思っていたので、ベストを出したかった。このクラスの1500メートルもレベルが上がっている」と話し、去年の世界選手権と比べ、強豪・ブラジル勢のスピードが強化されていると実感したということで「想定できなかったわけではないが、いよいよその速さにきたかと。みんな強い。ラストのスピードもあるし、私もスピード強化を継続していきたい」とパリパラリンピックでの雪辱を誓っていました。
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