(25日、高校野球・春季近畿地区大会1回戦 京都国際8―1兵庫・明石商=7回コールド)
プロ野球ドラフト会議で、5年連続で選手が指名されている京都国際。また楽しみな2年生が台頭した。
背番号11の西村一毅。京都外大西との京都府大会決勝で1失点完投した左腕は、この日も先発を任された。
走者を背負っても表情を変えることはない。最後まで投げきり、被安打5、2四球、1失点に抑えた。直球は打者の内角をどんどん突き、最近覚えたというスライダーを低めに集めた。
「序盤はあまり調子は良くなかったけど、途中から修正できて良かったです」
小牧憲継監督は「物おじすることがなく、淡々とボールを投げられる。感覚は森下(瑠大、DeNA)に近いものを持っている」と、プロ入りしたOBの名を挙げて高く評価する。
西村は、中学時代は主に中堅を守った。高校で投手に転向し、1年秋から公式戦で投げるなど、エース中崎琉生(3年)を脅かすような活躍を見せている。
だが、まだ自信がない。試合後に報道陣から背番号1を狙いたいかと問われても「いや…」と間を置き、「ちょっと怖いです」。その重さを想像したのか、苦笑いした。
将来の夢は公務員。「安定した生活が送れそうだから」
そんなエース候補の姿勢について、小牧監督は「目指しているものが低いというか、意欲がない」と頭をかく。発破をかける意味でも、昨秋の近畿大会でベンチ入りしたこの左腕を、春の選抜大会はメンバーから外した。
効果はあった。「とても悔しくて、負けられないという気持ちが出てきた」と西村。課題だった体の硬さを克服するため、自主練習の大半をストレッチにあてるなど、自ら考えて練習に取り組むようになった。
現時点でエースになれるとは思っていない。ただ、「新チームでは自分が中心で引っ張る存在になりたい」とも。
自信が備わったとき、大化けするかもしれない。(室田賢)
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