(1日、春季高校野球近畿大会準決勝 京都国際5―1奈良・天理)

 全国にいるライバルが、そして台頭する後輩の存在が、京都国際の中崎琉生(るい)(3年)を発奮させた。

 先発マウンドに上がった最速144キロ左腕は、テンポ良くコースの内外に直球を投げ込んだ。尻上がりに調子を上げ、球威はイニングを重ねるごとに増していった。

 被安打4、8奪三振、1失点で完投。奪った三振の半分以上が見逃しで、「相手の打者が手が出ないボールを求めてきた。今日の試合で結果が出てよかった」とうなずいた。

 先発した今春の選抜大会1回戦は九回、適時打を浴びて青森山田に3―4のサヨナラ負けを喫した。失意の中で、4月の日本代表候補合宿のメンバーに選ばれ、トップレベルの選手にもまれた。

 「求められる次元が今までとは全く別だった。野球に取り組む姿勢や、野球に対してかける思いは、自分はまだまだ甘かったなと思い知らされた場所でもあった」

 これまでは球速を意識して力任せに投げることもあったが、選抜の敗戦後から「質」を求めてフォームを改造。下半身と上半身が連動し、指先に力がしっかりと伝わるようになった。特に参考にしたのが世代屈指の右腕、広陵の高尾響(3年)だ。

 「高尾投手のキャッチボールを隣で見させてもらい、日本を代表する投手だと感じた。体重移動の仕方であったり、股関節の使い方だったり、見て学ぶものも多かった。それが今日のピッチングにいかされたかな」

 刺激はチーム内にもある。この近畿大会1回戦では、2年生の背番号11、西村一毅が7回を1失点。試合後、小牧憲継監督は報道陣に「中崎を抜かすくらいの気持ちで頑張ってほしい」とコメントしていた。

 監督の言葉をニュースで知った中崎は燃えた。「京都国際の背番号1を背負う自覚とプライドを持ってマウンドに上がりました」。先輩の意地を見せつけた137球の完投劇だ。

 京都国際は初めて近畿大会決勝に進む。「近畿でトップに立つぐらいのつもりでやらないと、甲子園では勝てない」と小牧監督。

 春の近畿王者となり、夏への大きな弾みにできるか。(室田賢)

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