バレー日本女子の五輪6大会連続出場への切符をかけた最後の戦いとなるネーションズリーグ。第2週を終えて世界ランク6位につける女子日本代表は12日から、最終第3週の福岡ラウンドでの残り4戦のみとなり、負けられない戦いが続く。日本代表「勝利へのポイント」をロンドン五輪、銅メダルを決めた迫田さおりさんが解説する。

運命の福岡ラウンド 残りは4戦のみ

パリ五輪に出場できるのは男女各12か国で、女子はすでにトルコ(1位)、ブラジル(2位)、ポーランド(3位)、アメリカ(5位)、セルビア(8位)、ドミニカ共和国(11位)と開催国のフランス(19位)を含めた7か国が五輪出場を決めている。残り5枠はネーションズリーグの予選ラウンド終了時の世界ランキングによって決定。眞鍋ジャパンが出場権を獲得するには、福岡ラウンドが終わった時点の世界ランキングが、アジア・オセアニア地域で最上位、または出場権未獲得の国のうち上位3位以内に入る必要がある。
※カッコ内は10日時点の世界ランキング

【ネーションズリーグ女子予選ラウンド日程】
第3週 福岡・北九州市(西日本総合展示場)
■12日(水)午後7時20分 日本×韓国(38位)
■13日(木)午後7時20分 日本×カナダ(10位)
■15日(土)午後7時20分 日本×セルビア(8位)
■16日(日)午後6時45分 日本×アメリカ(5位)
※女子のファイナルラウンドは20日~23日にタイ・バンコクで開催

パリ五輪出場へ韓国戦、カナダ戦は絶対に落とせない

Q:日本代表の調子をどのように感じるか
迫田さおり:

パリ五輪の切符がかかった最後の戦いなので、チーム全員で一つになって、いい戦い方ができてるんじゃないかなと思います。正直、五輪予選というのがすごくプレッシャーがかかるので選手達はほとんどOQT(五輪予選) を経験してない選手が多いと思うので、いろんな意味でチーム内でもピリッとした空気感が流れてるんじゃないかなと思いますね。

Q:福岡ラウンドが始まる…
迫田:

パリ五輪出場へ、韓国戦、カナダ戦は絶対に落とせない大事な試合になります。

Q:「勝利へのポイント」となるのは?
迫田:

海外の選手は身長も高いですし、手も長い。その中で出来るだけ的を絞らせないために速い、“高速バックアタック”が必要になります。バックアタック、真ん中の攻撃がある事によって、サイドの攻撃も本当に楽になってくるので、このバックアタックが重要になると思うので、この韓国、カナダ戦でバックアタックを多く使ってみんなで攻撃して、相手のブロックする人が『バックアタックもあるんじゃないか』って、ちょっと考えてサイドに寄るのでサイドのブロックが2枚じゃなくて 1.5枚になったり、1枚になると日本は確実に点を決められるメリットがあります。『印象付けて真ん中の攻撃もあるんだ…ちゃんとマークしないとっ…』と思わせるのが大事になると思います。

眞鍋監督が命名した高速バックアタック「マッハ」と「ジェット」

トスからわずか1秒でアタックを打つ“高速バックアタック”。その打ち方には眞鍋監督が命名した「マッハ」と「ジェット」がある。
「マッハ」…セッターから見て、前方にトスを上げるバックアタック
「ジェット」…セッターが後ろ(背後)にトスを上げるバックアタック

トスからスパイクまでの時間はなんと0秒70程であり、そのスピードがパリへの秘策となる。

Q:「マッハ」と「ジェット」を打ち分ける事に利点は
迫田:

相手のブロックの隙間から攻撃出来る所が大事になります。結構、速いので、ブロックが見えて打ち分けっていうのはなかなかの技術がいるんじゃないかと思いますね。助走に入る前からやっぱりみんな6人がわかってないとなかなか難しいかもしれませんね。

Q:どのようなコミュニケーションの取り方を
迫田:

声っていうのが必要になりますね。ただセッターとバックアタックを打つ選手だけではなくて、ミドルの攻撃もしっかり理解した上でバックアタックを呼ばないといけないので、本当にコートの中のコミュニケーション大事になると思います。ラリー中はやっぱり(声で)呼びます。自分が見てここの隙間が空いてるって思ったらセッターにすぐに伝えてトスを上げて貰うので大きい声で呼びますね。特にラリー中だと、相手が攻撃してきて自分たちがパスしたのを見て、自分がマッハ!ジェット!ってセッターに伝えて入るって感じですね。その時にミドルの動きを見たりだとか、コート内の状況を判断しながら攻撃に参加していくっていうのが大事になります。

Q:これぐらいをやらないと世界と戦えない…
迫田:

攻撃の枚数を増やしていきたいので、誰も止まっていられない。みんなで攻撃を仕掛けていくっていうのが大事になりますね。みんな阿吽の呼吸じゃないですけど、そういう動きというのは頭に入って体にも染みついてたりします。やっぱりセッターとちょっとでもタイミングが合うかなとか、この攻撃で大丈夫だったかなって、コート内で思ってしまった数秒で狂うんですよ。なので迷わないで信じて入っていくっていう所が大事になるんだと思います。


高速「マッハ」と「ジェット」さらにコース打ち分けで進化

Q:今の日本代表はその中でより難しい、コースの打ち分けをする…
迫田:

今の選手は簡単そうにやってるように見えるんですけど、かなり難しいと思いますね。あの速いバックアタック、速いトスをあれだけのスピードの助走で入っていくってことはしっかりあわないといけないので、本当にそれこそさっき言ったちょっとでも迷いがあったら打てない。しかも古賀選手だけが打てるというよりかは、石川選手も打てるし、井上選手も打てるしと、みんなが攻撃出来るというのが層の厚さにも関わってくるんじゃないかなと思いますね。

Q:コースの打ち分けっていうのは、いつ判断するのか
迫田:

(相手の)ブロックを見ているのでそのブロックが完成する前に打つっていうのが大事になってくると思います。ただここに頭っていうのはあんまりなくって、いろんな選択肢を持って助走に入るという感じだと思います。(そして、飛んでみて)判断します。一瞬で『空いてる、バン!』迷わないで判断。ちょっとでも迷ったらすぐにブロック完成しちゃうので、そこはもう本当に迷わず信じて打ち込むだけです…本当に瞬時の判断は非常に難しくって練習してきたからこそ、できる技術っていうのもありますね。

進化した“高速バックアタック”「マッハとジェット」を解説

トスからわずか1秒の間に相手コートを見て、空いている場所へ打ち込む進化した“高速バックアタック”の「マッハ」と「ジェット」が今後4戦すべてへの「勝利へのポイント」となる。

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