(25日、第106回全国高校野球選手権北北海道大会空知地区Cブロック1回戦 砂川13―2夕張)

 夕張は9年ぶりに夏の大会に単独チームで出場した。

 「もう公式戦に出られないのかと不安でした」

 鳶坂建之介主将(3年)は、1年前を振り返る。3校連合で出場した昨夏は初戦敗退。チームが解散すると、夕張の部員は鳶坂主将1人になった。翌日、藤井大地監督とすぐに動いた。

 休み時間、現2、3年生の男子生徒全員を教室に集め、スライドを使って野球の楽しさをプレゼンテーション。「1回、練習に来てください」と訴えた。

 勧誘の結果、計5人が仲間入り。打つ、捕る、投げる、の基本練習からスタート。少しずつ連係プレーができるようになり、「野球のおもしろさを改めて感じた」と、鳶坂主将は振り返る。この春、1年生5人も加わり、念願の単独チームを結成した。

 この日は二回に4点を奪われたが、即座に2点を返した。

 試合後、野球未経験者5人のうちの1人で、主砲を任された宇田川樹選手(3年)は、三回に2点目の足がかりになる安打を放った。「人生でこんなにひとつのことに打ち込んだのは初めて。悔しい。1勝したかった」と目に涙を浮かべた。

 鳶坂主将は、0―16で大敗した春季大会を引き合いに出し、「2点を返したときは感動した。やればできるんだ、と心から思った」と、すがすがしく笑った。(佐々木洋輔)

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