(第106回全国高校野球選手権新潟大会)

 似たところを探すのが難しい双子。見附の渡辺稜汰選手と幹汰選手(いずれも2年)はそんな兄弟だ。

 顔つきや体格に加え、利き手、視力、得意教科……。そして何より、野球のプレースタイルが違う。

 兄の稜汰選手が積極的で強気なら、弟の幹汰選手は慎重で堅実。兄が引っ張る打撃なら、弟は流し打ちが得意。ただ、2年生ながら2人がチームを引っ張る存在になっているところは同じだ。「2人ともどんどん実力をつけている。3年生を叱咤(しった)することもあるんです」と中野修監督は言う。

 双子の利点はいつでも練習相手がいて、アドバイスしあえること。「アドバイスしてやっているのに聞かないこともあるんです」と幹汰選手。「バットのヘッドが下がっているって言われた時は『芯に当たればいいんじゃね?』って言っちゃいました」と稜汰選手。じゃれ合うように笑う。

 ただ、反目しあったこともある。入学した時、2人は野球部に入らないつもりだった。だが、幹汰選手が先輩に憧れて入部を決意。それを聞いて稜汰選手は入部を迷い始めた。「中途半端な気持ちで入らない方がいい」。そう告げる弟に兄が怒り始め、2人は自宅でも学校でも無視しあう状態に。たった3~4日間なのだが、2人には「大事件」だった。

 新潟大会では稜汰選手が背番号1を背負う。幹汰選手もマウンドに登る機会がありそうだ。目標を聞くと稜汰選手は「8強」、幹汰選手は大きく「決勝進出」とやっぱり違うことを言う。だが、口をそろえた言葉があった。

 「お世話になった先輩やチームのみんなと、一日でも長く野球を続けられる夏にしたい」

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