(4日、第106回全国高校野球選手権福岡大会2回戦 遠賀0―13小倉工)

 「何とか落ちて」。そう願った打球は左中間を抜け、二塁打に。チーム唯一の安打。表情こそ変えなかったが、遠賀の市丸珠大主将(3年)は、同じ学校の仲間とこの舞台に立つ喜びをかみしめた。

 「こんなところで野球をやるんだ」。2年前は途方に暮れた。野球経験を買われ、当時の監督の誘いで入部したが、部員は自分だけで、グラウンドは荒れ放題。少しずつ整備し、監督とのキャッチボールやティー打撃に励んだ。「自分がやめたら部がなくなる」との思いだった。

 2年生になると、遊撃手の入江久遠選手(3年)と中堅手の伊藤裕翔選手(3年)の2人が入部し、連合チームで出場。その後も、野球経験のある生徒に声をかけ続け、今夏、2015年以来の単独出場にこぎ着けた。

 この日は、10人に増えた仲間とマネジャーと一緒に戦った。大量点を奪われても、エースとして粘り強く投げ抜いた。「夏の大会は独特な雰囲気。最後に味わえてよかった」(鳥尾祐太)

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