甲子園を目指す夏の高校野球広島大会、注目のチームを紹介するシリーズ「変わる夏、変わらない夢」。きょう、紹介するのは、大人顔負けの研究が光る祇園北高校野球部です。

「元気出して行きましょう。さあ、行こう」「おう!」

2021年夏、祇園北高校野球部は、ノーシードから決勝戦まで勝ち進み、旋風を巻き起こしました。

ことし春の大会では1回戦で広陵高校に敗れたものの、これまでの課題であった守備力を改善し、明るく夏に挑みます。

祇園北高校 藤田淳 主将
「声出したいから声を出すとか、いい雰囲気になるために声を出すとか、そういう義務感じゃないっていうところが、ことしのチームのいいところかなと思います」

祇園北高校で古くから語り継がれている言葉が、「文武両道」ではなく、「文武一道」。勉強と部活動を分けるのではなく、一貫して考える―。その方針の下、野球部を徹底サポートしているのが科学研究部です。

野球のことから体づくりやメンタル面まで総合的にデータ分析を行っており、全国の高校生から大学院生まで集まる野球データ分析競技会で初めて高校生での優秀賞を受賞するなど、文武一道をみごとに体現しています。

祇園北高校 篠原凡 監督
「自分が部活動で行き詰まっているテーマや課題に感じていることを探求のテーマに設定して、その解決に向けてデータであったりとか、そういった数字を使って分析して取り組んでいくところが、最近は非常に力を入れて取り組んでいっているところです」

その研究の中でパフォーマンスが向上した1人が、新原匡球 選手(3年)です。2年生から背番号1をつけるエースです。

去年までは本番で十分に力が発揮できない新原選手でしたが、血糖値を分析した結果、本番直前の夜に血糖値が上昇。緊張していることがわかりました。

祇園北高校 新原匡球 投手
「試合の前に急激に血糖値が上がっていたりして安定していなかったので、前日や前々日にサウナに入ったり、当日に野菜を多く食べるなどして血糖値を下げるようにしたら、自分がピンチの場面になったときにいつもだったら緊張というか、すごく気分が高まってしまう場面でも、いつもより落ち着いて投げられたのが変わったなと思いました」

もう1人、3年生の 河内祥吾 選手も血糖値分析を経て勝負強くなった選手です。実は、この研究で野球以外でも思わぬ効果があったと言います。

祇園北高校 河内祥吾 選手
「(寝る前に)スマホとか見ていたら睡眠の質が下がっちゃうので、英単語とか見る時間が勝手に増えたので、模試の結果は上がりました(100位⇒30位)」

研究の中で結果を出す同期を見て、「われこそは!」と手を挙げた選手もいます。和田拓海 選手(3年)。代走など重要な場面で起用されることの多い選手なのですが…

篠原凡 監督
「気持ちが前に出すぎて、それがプレーでミスにつながったり、本人も自分が思っている以上に自分の力を発揮できないことがあったと思うので」

祇園北高校 和田拓海 選手
「(血糖値の測定)マジで怖いっす。自分は何かいいプレーをしたときのその次のプレーでいい流れで行きすぎて、自分が思ったようなプレーができないことがあるので、それを改善できたらなと思って。(夏の大会では)自分はここ一番の場面で試合に出ることが多いと思うんですけど、その場面でしっかり自分の仕事ができるようにやっていきたいなと思います」

最先端の研究を導入して考えられたハードな練習メニューは、雨の日の屋内でもみっちり行われます。

和田拓海 選手
「練習とか試合とか、しんどいこともたくさんあると思うんですけど、試合になったときにチーム一丸となって、みんなで笑顔でプレーするのがやっぱり楽しいなと思います」

河内祥吾 選手
「自分が打って、ピッチャーとか仲間が喜んでいる姿を見ると、がんばってよかったなあって感じられるのが一番いいです」

夏の初戦は7月14日。新しいことを取り入れつつも野球の本質を忘れない祇園北野球部がこの夏、もう一度、大きな風を巻き起こします。

藤田淳 主将
「チームとしてはベスト8という目標はあるんですけども、一戦一戦を全員で全力でやることによって、その結果が出ると思うので、ベンチメンバーもそうですし、マネジャーの方もそうですし、チーム全員でやっていけたらなって思います」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。