(6日、第106回全国高校野球選手権新潟大会2回戦 巻総合5―1佐渡総合)

 三回裏2死、佐渡総合の一塁走者土屋響希(2年)が二盗を試みた。乱れる巻総合の守備陣。土屋は一気に本塁に生還した。

 先制点に沸くベンチ。マネジャーの佐藤梨心(りこ)(3年)は左手を上げ、ぴょんぴょんと跳びはねて喜んだ。土屋が戻ってくると、「頑張ったね」と声を掛けた。

 佐渡総合の3年生は佐藤だけだ。選手はみんな1、2年生。昨秋の新チーム発足後の公式戦では勝利に恵まれていない。選手たちは「梨心さんに公式戦の勝利を贈る」と意気込んで巻総合戦に臨んだ。

 だが、五回表に5点を奪われ、逆転を許した。その後は両チームとも得点がないまま、試合は終わった。主将の駒形凌(2年)は「本当に梨心さんに勝ちをプレゼントしたかった」と唇をかんだ。

 野球部からの「卒業」が決まった佐藤は「マネジャーとしてできることはやったかな」と振り返った。だが、「今日を糧にして勝てるようになって欲しい」と後輩たちへのエールを送ったところで、涙があふれた。(鈴木剛志)

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