(7日、第106回全国高校野球選手権大阪大会1回戦 大阪産大付7―6関西大倉)
この日、グラウンドで一番目立っていたのは、身長159センチの二塁手だった。
大阪産大付の田辺鉄心(てっしん)(3年)。鮮やかなグラブさばき、素早いスローイングを何度も見せ、観衆の視線を集めた。
最大の見せ場は八回の守りだ。5点あった点差を七回までに1点に詰められ、なお1死一、二塁のピンチ。田辺は一、二塁間の強いゴロを、体勢を崩しながら好捕した。
「おお!」と沸くスタンドをよそに、「一塁走者の足も考えて、二塁にいけると思った」と冷静に判断。体をくるっと反転させて二塁へ送球し、打者走者もアウトにして4―6―3の併殺を完成させた。ベンチでも盛り上がる仲間に、満足げにハイタッチで加わった。
1年秋から背番号4をつける。「野球は身長じゃない」と前監督に言われた言葉が、田辺の支えになっている。「僕は守備が得意。自信がないとセカンドはできません」。練習から、どんなミスもしないつもりで取り組んでいる。
最後の打者も、難しいタイミングで6―4―3の併殺を奪った。打っては2番打者として、1安打1犠打1四球の活躍だった。中川易監督は「きょうは田辺様々でしょう。本当によく練習するんです。チームの中心にいてくれる」と賛辞が止まらなかった。
田辺は、身長が低いことを苦に思ったこともあった。カルシウム飲料を積極的に飲んだ時期もある。「高校で2センチしか伸びなかったので、もうあきらめています。今は吹っ切れて、めちゃくちゃ楽しく野球ができている。四球も増えます」と笑う。
名前の「鉄心」は「鉄の心を持って育ってほしい」という願いが込められているという。「本気で優勝を狙っているし、絶対甲子園に行きたい」
誰よりも固く、強い思いで、最後の夏にかけている。(室田賢)
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