第106回全国高校野球選手権長野大会(朝日新聞社、県高校野球連盟主催)は7日、前日からの継続試合を含めて1回戦9試合と2回戦4試合があった。第2シードで昨夏王者の上田西が松本国際に敗れる波乱があった。第1シードの東京都市大塩尻はコールド勝ちで好発進した。

(7日、全国高校野球選手権長野大会2回戦 松本国際4-0上田西)

 得意のカットボールが、ボールゾーンに曲がりきらなかった。一回表、松本国際の3番打者に先制適時打を打たれた。「球1個分高かった」と上田西の宮下泰征(3年)は悔いた。最も練習し、武器にしてきた球。結果的に、決勝点になってしまった。

 もともとは内野手として入学した。1年生の冬に吉崎琢朗監督から「投手の練習もしておいて」と言われた。投手としての方が成長できるかもと思い、転向することにした。

 吉崎監督は当時を振り返る。「気持ちの変動が無いし、体のバランスや球筋を見たとき、投手としての可能性を感じました」

 直球でも変化球でも、カウントが取れる制球力が武器だ。その原点は昨夏にある。夏場にさしかかった頃に球威が落ちていると指摘され、ベンチ外に回った。「悔しくて先輩に聞いて回りました」

 一つ上の、甲子園に行った先輩投手陣が手をさしのべてくれた。手持ちの球種を全て丁寧に教えてくれた。「9割くらいの確率でストライクが入る変化球があると良いよ」とアドバイスされ、カットボールを見つけた。

 この日、打たれたのはそのカットボールだったが、吉崎監督は「粘り強いピッチングだった」と宮下を褒めた。試合後、監督が「良さを引き出してやれなくてごめんな」と謝ると、宮下は涙ながらに「ありがとうございました」と振り絞った。

 1年の時は野手だったから、エースナンバーをつけるなんて思わなかった。得たものはたくさんある。「足りないものを見つけて、苦しいときも自分を鼓舞してやって来られた。それを将来につなげたい」(高億翔)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。