大敗したけど、初舞台にたどり着いた――。特別支援学校として全国で初めて単独出場を果たした青鳥特別支援が7日、西東京大会2回戦に登場した。0―66の大敗。試合は3時間10分に及んだが、選手たちは最後まで懸命にプレーした。試合中、選手たちは何を感じていたのか。

 先発マウンドに立ったのは首藤理仁(3年)。相手の先頭打者にランニング本塁打を浴びるなど一回だけで11失点。その後も再三、ランニング本塁打を浴びた。

 首藤は失点しながら、4回1/3を101球と粘り強く投げた。「みんなで声をかけ合いながら野球ができてよかった」。試合後は充実した表情をみせた。

 一回裏、先頭打者で安打を放ったのは、岩本大志(1年)だ。「自然に体が反応した」と2球目の直球を逆らわずに右前へ。一塁上で両手でガッツポーズをすると、三塁側のベンチは沸きたった。「スタンドの声援もすごくて、気持ちよかった」

 主将の白子悠樹(3年)はこの日、不調でスタメンを外れ、悔しい思いをしていた。回を重ねるごとに遠のいていく相手の背中。それでも「諦めなければ勝てる、チャンスが来るぞと信じていた」。仲間に声をかけ続け、マウンドに何度も伝令に走った。最終回となった五回裏には、代打として打席に立った。

 フルカウントまで持ち込んだものの、最後は直球に手が出ず、見逃し三振。うつむきながらベンチに戻る白子に、スタンドからは「よく打席に立った」「キャプテン、諦めるな」と声が飛んた。

 試合が楽しみでここ数日眠れなかったという白子は試合後、大粒の涙を流した。「単独で出場できて、最後は打席にも立てて。悔いはありません」

 チームを率いる久保田浩司監督は試合中、外野手が飛球を捕球するなど、「初の舞台で練習の成果が出せている」と感じていた。試合後は「初めて単独出場を果たした特別支援学校と、歴史のある都立高校。野球では大きな差があった」と相手をたたえた。

 「勝負に勝てるチームをつくらないと」としながらも、この試合は「とても大きな一歩だった」と強調した。昨年は特別支援学校で初めて都高野連に加盟。3校の連合チームを組んで夏の大会に初出場した。今大会は単独チームとしての出場。「生徒たちが重い扉を開けてくれた」と感謝した。

 そして、こう話した。「この試合を見て、全国で、うちも野球をやってみたいと手を挙げる特別支援学校が増えることを期待しています」=スリーボンド八王子(吉村駿)

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