(8日、第106回全国高校野球選手権東東京大会2回戦 大崎12―7目黒)

 一回の守り。目黒の小余塚柊(こよづかしゅう)(3年)はピンチを切り抜けると、マウンド上で叫んだ。そして、「マッチョ」のポーズ。盛り上げるためのおなじみのパフォーマンスだ。

 チーム一のムードメーカーで、いじられキャラ。五回の攻撃前の円陣では、「五回だから豪快にいこうぜ」と声を出した。ちょっと滑ったけれど、いつも通り。どっと笑いが起きた。

 小学2年から投手一筋。背番号「1」を背負った昨秋の都大会では、打たれると周りが見えなくなった。周囲からは「一人で不安そうに投げている」と指摘された。

 それから、意識を変えた。マウンドから周りをみると、選手一人一人の動きがよくわかるようになった。普段から靴をそろえたり、ゴミ拾いをしたり。視野が広くなると、余裕も生まれた。

 先発したこの日は三回途中で降板し、6失点。打ちこまれると、周りが見えなくなる癖がちょっと出たけれど、ベンチに下がってからは、冷静にグラウンドを見渡せた。

 今大会、1回戦から選手名が表示されるようになった神宮のスコアボード。ずらっと並んだ仲間の名前を見て、改めて気付いた。「いい仲間と野球がやれてよかった」と。

 だからこそ、思う。「1番を背負って、みんなの勝敗を握っている立場。勝ちに導けなかったのはやっぱり悔しい」=神宮(野田枝里子)

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