(8日、第106回全国高校野球選手権大分大会1回戦 大分国際情報9―0中津北) 中津北は五回まで完全に抑えこまれていた。注目投手の1人、大分国際情報のエースの球に、三振や凡打が続いた。

 中津北の小野田徠(らい)選手の初打席は三回だった。「自分らしく思い切って振ろう」と臨んだが、三球三振に終わった。

 チームは初戦が決まった後、打撃マシンの球速を上げたり、変化球を織り交ぜたりしながら備えてきた。しかし、試合では相手エースを打ち崩すことができない。「思ったよりも球がくる」。仲間の言葉通りだった。

 「勝負をかける球には力をぶつけよう」。監督の指示を受けて、グラウンド整備を挟んで迎えた六回、先頭打者が四球で出塁。小野田選手は再び打席に立った。ベンチからのサインは「打て」。

 投手を見据えた3球目。高めに浮いた直球に合わせると、三遊間を抜けてチーム初安打となった。「自分を勇気づける一打だった」

 試合はコールド負けし、涙をこらえるようにベンチ前に整列した小野田選手。「3年間、真剣にやってきたものがここで途絶えてしまったのはとても残念だが、大切な思い出としてしまっておきたい」と話した。(大村久)

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