(8日、第106回全国高校野球選手権熊本大会1回戦 熊本6-3鹿本商工・熊本高専熊本・菊池農)

 先取点は絶対に取りたい。鹿本商工・熊本高専熊本・菊池農の連合チームで出場した選手たちは、同じ思いを持って一回裏の攻撃に臨んだ。

 1死から倉員(くらかず)渓太選手(鹿本商工3年)が四球を選ぶと、続く渡辺勇樹選手(熊本高専熊本2年)がチェンジアップを右前に運んだ。直球を狙っていたのでタイミングは狂ったが「何としてもつなげたい」とバットを振り抜いた。さらに渡辺和樹選手(同2年)が死球を得て1死満塁となった。

 好機を託された5番打者の上田仁選手(同1年)は「クリーンアップを任された責任を果たそう」と初球から積極的に振っていった。3球目、高めの直球がバットに当たり、右翼への浅い飛球に。「行け!」という声がベンチから響き、三塁走者の倉員選手はタッチアップで本塁に向かった。

 「つないでつないでつくった得点のチャンス。絶対にものにする」。送球がそれ、捕手が動くのを目で追って、それを避けながら滑り込んだ。「セーフ」。みんなが待望した1点をもぎ取った。

 七回には1死一、二塁から平山寛選手(菊池農3年)が初球を内野に転がして敵失を誘い、追加点につながった。

 相手に14安打されながらも好返球やファインプレーで大量失点を防ぎ、九回を戦い抜いた。主将の上田輝龍選手(鹿本商工3年)は「本気で勝ちにいったので悔しいです」と話した後、「でもこのチームで野球ができて楽しかった」と振り返った。チームのみんなが同じ気持ちだった。(吉田啓)

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