(10日、プロ野球 阪神タイガース4―1東京ヤクルトスワローズ)

 全力で2度、ブンブンとバットを振って阪神の野口恭佑は打席に入った。四回2死二塁。「とにかく強く振る」。追い込まれても、その姿勢は変わらない。6球目。内角速球に詰まったが、振り切ったから打球は中堅手の前で弾んだ。

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 同点の適時打に甲子園が沸き立つ。右翼の守りに向かう時、360度から注がれる「野口コール」に体を1周させながら何度もお辞儀をした。

 長崎出身の23歳。創成館高から九産大を経て育成選手として入団した。新人だった昨秋に支配下登録され、今春のキャンプは1軍に抜擢(ばってき)。だが、「レベルが高くて頭がパンクしそうになった」。アピールに失敗した。

 2軍で鍛え直す中で気づいた。「自分の持ち味は思いっきりのよさ。とにかく振らないと」。夕食後は室内練習場で打ち込み、夜中に目覚めてバットを握ったこともあった。

 6月に1軍に昇格すると、今月7日に代打で初安打を記録し、犠飛で初打点もマークした。この日、初の先発出場。初の適時打に、お立ち台で「やりました!」。万歳したその手のひらはマメだらけだった。(山口裕起)

 大竹(神) 6回1失点。「初回の失点で焦るとよくないと思い、二回からスタートという気持ちで落ち着いて投げることを意識した」

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