(10日、プロ野球 横浜DeNAベイスターズ3―0中日ドラゴンズ)

 この夜、DeNAの東克樹が自らに言い聞かせたのは、長いイニングを投げることだ。9連戦の2戦目。しかも、前日は延長十一回まで戦い、計7投手が登板していた。

 中10日のマウンドには、開幕から無傷の8連勝、球団新記録となる横浜スタジアムでの11連勝がかかる。蒸し暑い夕暮れどき。「正直、試合が始まる前から重圧をかけ過ぎていたので、すごい緊張していて、ふわふわした状態だった」

 それでも、昨季の最多勝、最高勝率のタイトルを獲得した28歳は、平静を取り戻すすべを知っている。立ち上がり、慎重に入る。警戒していた3番福永裕基を追い込んでから、外角真っすぐで見逃しの3球三振に。「初回、3人で抑えることができて、それ以降、自分のリズムの中で投げられた。球の力自体はあったので、押していく中で変化球でかわしていく自分らしい投球ができた」。プロ入り後、最多の124球。五回から意識した、という完封勝ちだった。

 広いとは言えない、この球場で抑えられる要因は「ちょっと間違えば本塁打が入るような球場なので丁寧に投げることを意識している」。基本を徹底した先の球団新記録だった。

 小さいころ憧れていた左腕は身長167センチ、球界最年長の44歳石川雅規(ヤ)。身長170センチの東は「並大抵の努力じゃ、あの年代までできない。小さな体ですけど長くできるように頑張りたい」。横浜の夜空の下、一つの歴史を作った左腕の新たな目標でもある。(笠井正基)

「安心して見ていられた」

 三浦監督(D) 東が完封。「立ち上がりから、真っすぐが走りましたし、ちょっと変化球は抜ける球もあったが、修正して、安心して見ていられた」

捕手の山本が先制点で援護

 DeNAの山本が二回、先取点をたたき出した。2日前に支配下登録され、プロ初先発となった中日・松木平(まつきひら)から、宮崎、佐野の連打で迎えた1死一、三塁。初球の速球を逆らわずに右前にはじき返した。「チャンスだったので、甘いボールが来たら積極的に打ちにいく準備をして打席に入った。良い形でとらえられた」

 プロ7年目で、ファン投票の捕手部門で球宴に初めて選出された25歳は四回にも右前安打。前日から6打席連続安打と、当たっている。

中日は松木平を援護できず

DeNAは二回に山本の適時打で先制し、三回はオースティンがソロ。東が完封勝ちで開幕8連勝。中日はプロ初先発の松木平を援護できず。

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