(11日、第106回全国高校野球選手権山梨大会1回戦 富士北稜0―7巨摩)
7点を追う七回表2死走者なし。あと1死でコールド負けの場面で、打順が回ってきた。
富士北稜の9番打者・加々美雄成選手(2年)は、内角低めの直球をはじき返すと、打球は一、二塁間を抜く右前打に。「絶対に1番のキャプテンにつなげたい」。気迫のこもった打球だった。
不調が続いていたというが、この日は「すごくよかった」。3打数2安打で、チーム安打4の半分を占めた。「応援がすごかった。いつもと違う環境がよかったのかも知れない」。調子づくと波に乗るタイプだという。
1点を追う三回表には、先頭打者で直球をセンター返しにして出塁。二塁に進むと右飛でしっかりタッチアップし、チームで唯一、三塁を踏んで同点のチャンスを作った。
変化球をうまく織り交ぜる相手投手にチームは打ちあぐねたが、加々美選手は変化球で振らされないように、狙いを直球だけに絞っていた。
山本恭平監督は、打席に向かう加々美選手に特に声はかけなかったという。「気合の入ったいい表情をしていた。ムードメーカーで、まじめに練習に取りくんできた。これからはチームを引っ張る存在になってほしい」と期待する。
2019年の山梨大会8強以来、夏には勝利がない。今年の初戦もコールド負けとなり、目標だった「1勝」は来年に持ち越された。
加々美選手は「3年生の先輩たちと勝ちたかった。自分たちの代で必ず1勝し、勝ち進みたい」と前を向いた。(豊平森)
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