(12日、第106回全国高校野球選手権岩手大会1回戦、盛岡市立0―8水沢工)

 盛岡市立のエースナンバーを背負う和井内海凪(みなぎ)投手(3年)は、先発マウンドで苦しんだ佐々木悠琥(はるく)投手(2年)に告げた。

 「俺が抑えてくるから」

 佐々木投手から球を受け取り、一回途中から救援のマウンドに立った。

 当初は四回あたりからの継投プランだった。だが、浮足立つチームを落ち着かせようと、得意の変化球を投げ込んだ。

 この日、思い描いた投球ができたのは、8点差で迎えた六回裏、1死一、二塁の場面だ。2人の走者が生還すれば、コールドで試合が終わる。

 バッテリーを組む小上(こかみ)琉生(るい)捕手(2年)のサインを信じた。変化球を見せ球に、最後は直球で内野ゴロに打ち取った。「よっしゃー」とほえた。

 前監督から「直球より変化球を鍛えなさい」と言われた。スライダーなどを磨いた。そして2日前、小上捕手からカットボールを投げることを勧められた。その球で三振を取ることもできた。

 「小上はすごいキャッチャーなんですよ。小上のような捕手がいれば、必ず上にいける。もっと上を目指してがんばってほしい」。最後の夏。後輩にバトンを託した。(藤井怜)

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