(13日、第106回全国高校野球選手権大分大会2回戦 大分8―4藤蔭)八回裏、無死一塁。藤蔭の主砲・佐藤一徹選手の狙いは直球だった。「引っ張って振り切ろう」。初球を振り抜くと、打球は大きな放物線を描いた。足が止まる右翼手。スタンド上段のフェンスに直撃した。
昨秋に新チームが始動して以降、練習試合のように公式戦では打てなかった。強い打球を放つためにスイングを強く――。冬場に体重を増やし、ベンチプレスやスクワットなどで鍛えた。「チャンスで打てるバッターを目指してきた」
この試合、三回裏には中前安打を放って同点の二塁走者を返していた。再びチャンスが巡ってきたのが、4点を追う八回裏だった。立川一郎監督の指示は「思い切って引っぱれ」。会心の一打で2点差に詰め寄った。高校通算7本目の本塁打。ベンチの仲間から祝福されると笑みがこぼれた。
「監督がずっと4番に使ってくれたおかげ。春の大会や夏の大会を通じて成長することができた」と佐藤選手。試合に敗れ、最後の夏は終わった。「このチームでもっとやりたかった」と球場を後にした。(大村久)
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