(13日、第106回全国高校野球選手権宮城大会2回戦、聖和学園1―0東北学院)
「負けてしまったけど、もう一回、みんなと野球ができて楽しかった」。先発のマウンドに立った東北学院の佐藤築(きずく)投手(3年)は試合後、喜びをかみしめた。
1年の秋ごろ、体調に異変があった。2年春、難病に指定されている成人スティル病と診断され、1カ月半の入院を余儀なくされた。でも野球をやめる選択はなかった。
退院後、昼ご飯に弁当箱いっぱいのご飯を食べるなど食事量を増やし、減った体重を10キロ程度増やした。渡辺徹監督は「コツコツ努力を重ね、ピッチャーとしての実力をぐんと上げてきた」と評価し、この試合の先発マウンドを託した。
三回に1失点するが、その裏の打席で「チームに勇気を与えたい」と4球目の直球を中前に運んだ。
四回2死二、三塁のピンチも三ゴロに切り抜け、グラブを2回たたいて喜んだ。
五回途中1失点の好投。チームは0―1で敗れたが、困難を乗り越えた背番号10は「試合に出ることは当たり前じゃないので感謝しなきゃいけない」と口にした。
父の良昭さん(53)は試合後、「また野球をやっている姿を見られたので本当にうれしい。まずはお疲れさんと伝えたい」とほほえんだ。(岸めぐみ)
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