(18日、第106回全国高校野球選手権東東京大会4回戦 帝京2―1城東)

 城東の三塁側スタンドから、一球ごとに沸く歓声。帝京の三塁手・奈良飛雄馬(3年)は、スタンドから一番近い場所で、その音を聞いていた。「今まで経験したことのないくらいの迫力。ある程度慣れているつもりだったけど……」。都立の強豪の応援に圧倒されていた。

 八回裏1死二塁。城東の主将・滝浪央翔(たきなみひろと)(3年)が、大歓声を浴びながら代打で登場した。2016年の夏、準々決勝で帝京を破った城東に憧れて入学。試合前、みんなには「100回やって99回負けると思う。1回を今回で引き出そう」と声をかけた。

 四球を選ぶと、ベンチに向かってガッツポーズをして叫んだ。「勢いで飲み込もうと思って」。主将の気迫に、選手たちも身を乗り出して応えた。

 一方、マウンドにいる帝京の小野寛人(3年)は、城東ベンチのそんな様子に奮い立たせていた。「応援がすごい。相手は笑顔で立ち向かってくる。でも、圧倒されたら終わり。自分を応援していると思って、こっちも笑顔でやろうって」。

 八回のピンチを切り抜けると、九回も走者を出しながら無失点に抑えた。1点差を守り切ったエースは「ピンチの時でも周りを見る余裕があって、楽しめた」。

 城東の「圧」は確かにあった。でも、その「圧」をはねのけた第1シードの帝京。試合後、すがすがしい表情の滝浪は言った。

 「結果的に負けたのは悔しいけれど、今までで一番いい試合ができた。出し切れて、楽しかった」そして、こう勝者をたたえた。「帝京はさすがですね、メンタルがすごい」=神宮(野田枝里子)

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