(20日、第106回全国高校野球選手権南北海道大会準決勝 北照0―1札幌日大)

 北照の高橋幸佑投手(3年)は140キロ台の速球を武器に、再三のピンチをしのいできた。だが六回、2死三塁。「決めにいったスライダーが甘くなった」。中前打を許し、決勝点を奪われた。

 今春にはU18(18歳以下)日本代表候補の強化合宿に呼ばれるなど、全国でも注目の左腕。だが、入学当時は不安でいっぱいだった。

 20人前後いる投手候補のうち、中学時代に軟式野球をしていたのは自分を含めて数人ほど。球速も120キロに届かなかった。「ベンチに入れなくてもゴメンね」。横浜市の実家から旅立つ日、見送りに来てくれた父親に、思わず口にした。

 走り込みについていけずへばっていた時、「いっしょに甲子園へ行こう」と声をかけてくれたのが、同じ横浜市出身の田中太晟投手(3年)だった。

 上林弘樹監督からは「フォームは良いから、体重を増やしたら球速は上がる」と励まされた。

 寮の近くにある弁当店で毎晩、夜食を買った。お気に入りは唐揚げ弁当のご飯大盛り。体重は80キロになり、この夏の南大会では最速148キロが出た。

 札幌日大戦も7回を投げ毎回の8奪三振。「やりきったので悔いはない。チームとしてもベストゲームだった」。甲子園には届かなかったが、野球人生はまだこれから。「世界中の人を楽しませる投手になりたい」。プロ野球が次の目標だ。(岡田昇)

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