(21日、第106回全国高校野球選手権高知大会2回戦 土佐1―4小津)

 土佐の先発は背番号10の小松起(ゆき)投手(3年)。一回の先頭にヒットを許し、味方のエラーも出てピンチだったが「抑えられる自信はあった」。後続を三振や外野フライで打ち取り、上々の滑り出しだった。

 高1の秋から高3の春まで背番号1。2月に右足首をねんざしてフォームを崩し、直球が思うように投げられなくなった。

 試合では、直球だけが打者の頭上を通過したり、捕手に届くまで2バウンドしたり。卒業生らから助言を受けたが、うまくいかない。

 「雨ですべるなかで投げている感じだった」

 この日対戦した小津との4月の練習試合でも、四死球を出し続け、初回に15点取られた。

 「投げるのが怖くなった。野球を辞めようと思った」

 悩んだ末に4月下旬、小学生の頃から使っている特別なグラブを扱う岡山県備前市のスポーツ用品店を訪ねて相談した。

 米大リーグ・ドジャースの山本由伸投手のフォームを参考にすることにした。足をあまり上げず、目線や体の軸をずらさない。制球力は戻り、球速も球威も増した。

 この日、5回まで74球を投げ、半数が直球。「真っすぐは良かった。狙った所に行っていた」。与四死球0、1失点で後を託した。

 大学に進んでさらに野球に力を入れるつもりだ。「4年後のプロ入り、その先の大リーグを目指します」(蜷川大介)

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