（22日、第106回全国高校野球選手権大分大会準々決勝 大分舞鶴9―0高田）

　7点を追う五回2死二塁、高田の河野准汰捕手（3年）は夢中で飛球に突っ込んだ。「絶対にコールドゲームなんかにさせない」

　バックネットにぶつかる際、自分のキャッチャーミットに顔を打ち付けてしばらく立てなかった。それでも攻撃の流れは意地で止めた。

　初回、幼なじみのエース・井ノ本紘基投手（3年）の異変を感じていた。球がまっすぐに来ない。三者凡退に打ち取ったが、井ノ本投手の顔は真っ白になっていた。

　二回に3連続安打を浴びて4失点。マウンドに集まると井ノ本投手は「ちょっと吐きそう」とつらい様子だった。河野捕手は「できるところまでやってくれればいい」と心の中でつぶやいた。

　ずっと井ノ本投手を頼りにしていた。これまでの3試合を一人で投げ、打撃でも7安打4打点の活躍。「この大会、井ノ本が駄目だったらいいや」と思うほど感謝していた。

　井ノ本投手は二回途中で降板し、試合は大差で敗れた。河野捕手は「負けて悔しい。でも高田全員でやってきたのが、それよりうれしい」と笑顔を浮かべ、腫らしたほおに涙を流した。（神崎卓征）

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