（22日、第106回全国高校野球選手権愛知大会5回戦 名古屋たちばな2―0愛工大名電）

　愛知大会4連覇を目指した愛工大名電。相手の先発投手を最後まで攻略できず勢いにのまれた。

　試合が動いたのは、四回の守備の場面だ。四球で出塁を許して1死一塁、三ゴロで打ち取ったはずが一塁ベースカバーが乱れ、悪送球に。主将で三塁手の山口泰知選手（3年）は「どちらがカバーに入るか分からない状況。投げていなければ」と悔やむ。スタンドの声援でカバーリングの声が届かなかった。一塁走者が一気に本塁を突き、先制された。

　攻撃では、名古屋たちばなの先発投手に外角を多く突かれ、5安打に抑え込まれた。六回こそ、連打で1死一、二塁の好機を作ったが、1点が遠かった。倉野光生監督は「十分やった。それ以上に向こうの守り勝つ強さがありましたね」。

　この日、エース大泉塁翔（るいが）選手（3年）が9回を投げ抜いた。試合後にグラウンドを出ると、立っていたのは、涙ぐむ伊東尚輝選手（3年）だった。

　伊東選手は選抜大会1回戦で完投し、速球が持ち味の右腕だ。だが肩の違和感を覚え、愛知大会の初戦前夜にベンチ入りメンバーから外してほしいと自ら監督に願い出た。調子が戻れば甲子園で一緒に投げる――。2人はそう約束していた。

　「ごめん」という大泉選手に、伊東選手が言葉を返した。「頑張ってくれてありがとう」（渡辺杏果）

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