(22日、第106回全国高校野球選手権愛知大会5回戦 大成7―0豊川)

 「逆転ののろしを自分が上げる」。7点を追う六回1死一塁、豊川のモイセエフ・ニキータ選手(3年)はそう念じながら打席に入った。

 流れを変えるには自分のフルスイングしかない。そう腹をくくった。ファウルで粘った末の7球目、大成のエース堺千真選手(3年)が投じた直球は内角低め。見逃し三振。世代屈指のスラッガーの夏が終わった。

 今春の選抜では大会中3本しか出なかった本塁打(1本はランニング本塁打)のうちの1本を放ち、注目を浴びた。チームは初戦で敗れ、夏に向けて課題だった三振の多さを改善しようと、低めの変化球を見極めるべく、選球眼を磨いた。

 今大会は4回戦までの2試合で4打数2安打5打点と好調だった。この日も大会注目の投手、堺選手から1安打を放ったが、チームは4安打に抑え込まれ、零封負け。「低めの変化球を呼び込んで打つことができなかった。みんなの期待に応えられなくて本当に悔しい」

 モイセエフ選手は高校卒業後のプロ入りを目指している。「呼ばれるかは分からないけど、今年でプロに行くのを目標にずっとやってきた。引退後も練習を続けます」

 涙で赤く腫らした目で、力強く語った。(米田怜央)

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