(23日、第106回全国高校野球選手権岡山大会準々決勝 岡山理大付2―1岡山城東)
岡山城東のエース国定泉吹(3年)は回を追うごとに調子を上げた。五回以降、二塁を踏ませたのは1度だけ。「投げたいところに投げられた」。身長185センチ。右上手から投げ下ろす140キロ超の直球を軸に、チェンジアップとフォークがさえた。
相手は春の県大会準々決勝で2―3で惜敗した岡山理大付。9奪三振で完投も、三回にこの試合唯一の連打を許し敗れた。「チームの特徴はわかった。次は必ず勝つ」。普段通り、集中して投げるだけ。喜怒哀楽を表に出すタイプではないが、再戦に闘志を燃やした。
一回、三者凡退に抑え、上々の立ち上がり。しかし二回、連打に失策が絡み1点を失う。四回には初球の甘いカーブを右翼席に運ばれた。「狙われた」。暑さとこれまでの疲れとで、思うように投げられなかったが、気持ちは切らさなかった。
五回に入ると体が暑さに慣れてきた。前半のカットボール主体の投球を直球主体に替え、凡打の山を築いた。
九回裏の攻撃中、2死になってもベンチ前で投球練習を続けた。「まだまだいける」。しかし春と同じ1点差の敗戦。悔しさがこみ上げた。
やれることはやった。「楽しく、かつまじめに野球に取り組めた。チームメートに感謝したい」。すがすがしい思い。そこに涙はなかった。(小沢邦男)
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