(23日、第106回全国高校野球選手権高知大会準々決勝、高知商7―0高知中央)

 高知中央の背番号1、伊東徠那(らいな)投手(3年)の立ち上がりは順調だった。先頭打者を三振。二回の1死一、三塁のピンチは2者連続三振で切り抜けた。「エースとしてチームに勢いをつけたかった」

 高知市立城東中から、太田弘昭監督の指導を受けたいと進学した。昨夏の甲子園では背番号20。大阪の強豪、履正社戦でマウンドに立った。

 「先輩に連れて行ってもらった初の甲子園。次は自分の力で行く」

 そんな思いで練習していた昨秋、利き腕の左肘を痛めた。それ以降、治療を受けたり、筋力トレーニングをしたりする日々。春の大会ではベンチ入りメンバーからも外れた。

 「夏の大会に間に合うだろうか」と不安がよぎった。

 投げられるようになったのは6月だ。今大会の2回戦、約1年ぶりに公式戦のマウンドに立ち、力投でピンチを切り抜けた。「伊東、いいぞ!」。チームは活気づき、1―0で競り勝った。

 この日は三回に2失点したが、その後、スコアボードに0を並べた。投球数が120球を越えた八回、連打を浴びた。10本目のヒットを打たれた九回途中で降板した。

 この試合で159球を投げた。「いまの力は出し切った。でも、完全燃焼とはいえず、悔しい。大学でも野球を続け、プロを目指して頑張りたい」と話した。(蜷川大介)

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