(24日、第106回全国高校野球選手権宮崎大会準決勝 富島11―7都城)

 2―10。点がとれなければコールドで敗退となる七回裏、都城の反撃は始まった。

 代打で送り出された中武郁聡(ふみあき)選手(3年)は「まだいける。あきらめる雰囲気はなかった」。

 この回に代わったばかりの相手投手のスライダーを中前にはじき返すと、今大会、何度も見せてきたつなぐ打線に火がついた。死球を挟んで計4連打。犠飛などもあり、一挙5点を奪い返した。

 都城には、中学時代に対戦した前田悠斗主将(同)と同じチームで戦ってみたい、と進んだ。

 夏の大会には1年から捕手として先発出場したが、今年1月に痛めた右ひじが回復せず、守備位置を変更。背番号3をつけた今大会、左打者のため、左投手が先発する試合は代打出場が多かった。

 この日、相手の富島は9盗塁。味方の正捕手の故障をつき、足を絡めて重圧をかけてくるのをベンチで悔しく見ていた。

 八回は先頭打者として安打を放ってチャンスを広げると、九回は2死から右翼線に二塁打。本塁を狙った一塁走者がアウトになると、「仕方がない」と苦笑いの後、整列した。

 準々決勝までの4試合、1本の安打も出ていなかったが、この日は終盤の3回で3安打。チームのムードを盛り上げ、「後悔がないとは言えないけど、楽しかったです」。

 田村勇人監督は「経験の豊富さで、劣勢でも冷静に戦ってくれた」と褒め、「おかげでつなぐ野球を見せることができた」と話した。(中島健)

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