(25日、第106回全国高校野球選手権静岡大会準々決勝 知徳2―4聖隷クリストファー)
初の4強を目指す知徳はエース小船翼投手(3年)が先発し、必勝を期した。しかし、制球が定まらず、守りのリズムがつかめない。二回と三回に1点、五回に2点を失った。いずれも捕逸、四球、失策がからんだ。
聖隷クリストファーの井上侑主将(3年)らは小船投手のこれまでの投球を映像で見て「低めの変化球に手を出さなければ、捕まえるチャンスはある」と話し合っていた。ストライクを取りに来る140キロほどの球に狙いを絞った。
ミスを逃さず、わずかなチャンスを生かす。「紙一重の差」(知徳の初鹿文彦監督)が4強への道を分けた。
「調子は悪くなかったが、投げ急いでいる感じだった」と小船投手。身長198センチから最速152キロの速球を投げ下ろし、大会屈指の右腕と注目されてきた。大きなプレッシャーがかかるなかで、準々決勝まで逆転勝ちと1点差の厳しい試合を勝ち抜いた。
支えたのは「小船がいるから、ここまで来られた」と言ってはばからない松本陣主将(3年)らチームメートだ。小船投手は「うまくいかない場面もあったが、仲間に助けられた」と感謝する。
大会前、「ホップ・ステップ・ジャンプ」をデザインしたTシャツをつくった。知徳で学んだことを土台にはばたこうという意味だ。
「考えを尊重し、技術や人間性を成長させてもらい、つくってくれた」。小船投手も松本主将も口をそろえる。悔しさの先に、高校3年間で培った力が実を結ぶのはこれからだ。(大海英史、田中美保)
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