(25日、第106回全国高校野球選手権大阪大会準々決勝 履正社9―0大阪産大付=7回コールド )

 大阪産大付の3年生バッテリーは、一回からあうんの呼吸を見せた。

 2死一塁、迎えるは4番打者。小林舷(げん)捕手はインコースにミットを構えた。サインはカットボール。エースの大内亮太投手の一番の武器だ。「絶対にお前なら抑えられる」と目を見た。

 大内投手は「分かっとるやん」とにやり。すべてカットボールを投げ、3球で空振り三振――。

 2人は中学時代から香川県内の同じチームでバッテリーを組んでいた。レベルの高い大阪で甲子園を目指そうと、大阪産大付にやってきた。初めての寮生活で不安だったけど、1人じゃない。「一緒に頑張ろうな」「おう」と声をかけあった。

 大内投手から見た小林捕手は「ちょっとシャイやけど、慣れたらおしゃべり」。投球の組み立ては全部任せていて、ミットを構えているときの安心感が違う。でもワンバンウンドを投げたり、死球を出したりすると、怒られる。

 小林捕手にとって大内投手は「人を楽しませるのが好きで面白いことばかり言うけど、一番の努力家」。中学時代はマウンドでおどおどしていたが、今ではたくましいエースそのものに見える。

 《ピンチで後逸すれば負ける場面でも、舷が受けてくれるなら低めのコースにも投げ切れた。舷のブロッキング能力を信じていた》

 《ピンチの場面で亮太がマウンドに上がれば、大丈夫だと思えた。亮太は三振を取れる力がある。マウンドで「にやっ」と笑う表情を見るのが楽しかった》

 だけど、2人のバッテリーはここで終わり。それぞれ別の進路を見据える。

 試合後、寂しくないかと聞いた。「寂しくないっす、野球をやってたらまた会えると思うんで」と答える大内投手に、小林捕手は「きれいごとっすね」と笑った。

 冗談を言って笑い合う。最後までいつもの2人だった。(西晃奈)

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