(27日、第106回全国高校野球選手権広島大会決勝 広陵3-1広島商)

 広陵の優勝が決まった瞬間、仲間と一緒にこぶしを突き上げ、跳びはねた。三塁側スタンドにいた野球部員で応援団長の吉村心翔(まなと)さん(3年)は「2年半の思いがあふれて涙が出た」。

 昨秋の県大会後にメンバーから外れ、団長を志願した。甲子園出場が決まると、「これからが本番。チームワークを高めたい」と意気込んだ。

 スタンドには卒業生の姿も。昨夏の甲子園に内野手として出場した大学生の松下水音(みおと)さん(19)は、兵庫県から駆けつけた。「メンバーもスタンドも一体になって戦う姿は変わらない。自分もこうやって支えられていたんだなと思った」と、メガホンを打ち鳴らした。

 奈良県から応援に訪れた大学生の白石知也さん(18)は「個々の思いが広陵は強い。勝ちきってくれて本当によかった」と顔をほころばせた。在学中は練習試合や公式戦に毎回のように顔を出し、チームの「守護神」と呼ばれた。今夏の甲子園も、応援に行く予定だという。

 一塁側の広島商スタンドにも、生徒や卒業生らが詰めかけた。野球部員で応援団長を務める岩本拓也さん(3年)は試合前、「昨夏は1点差で敗れて悔しい思いをした。引退した先輩の気持ちも背負って応援する」と力を込めた。

 試合は、広島商が二回に先取点を取ったが、その後追いつかれ、五回に勝ち越された。吹奏楽部部長の村田望果(もか)さん(3年)は「広島商は2アウトになってからが強い。巻き返してくれるはず」。最後まで懸命に、マツダスタジアムに応援歌を響かせていた。(魚住あかり)

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