7月26日に開幕したパリオリンピック™。日本陸上界に、新たな歴史を刻んだのが女子三段跳日本記録保持者、森本麻里子(29、オリコ)だ。日本選手権では2019年から6連覇を果たし、ワールドランキングでパリ五輪出場を決めた。日本選手が五輪で女子三段跳に出場するのは史上初の快挙だ。

9歳の夏休みに、アテネ五輪(2004年)で競泳・100m平泳ぎの北島康介さんが金メダルを獲得したことに感銘を受けた。「いつか自分もそういう感動を与えられる選手になりたい」と、小学校時代から陸上の他に、バレーボールや水泳など幅広いスポーツに取り組んできた。

中学時代は走幅跳を中心に取り組み、太成学院高校(大阪)の3年時にはインターハイに出場。全国2位に輝くなど頭角を表していた森本は「走幅跳で東京オリンピックを目指していた」が大学入学後は記録が低迷。周囲から三段跳への転向を勧められたという。当初は「3度同じ足を着くのは痛そう」と乗り気ではなかったというが、初めての試合で関東インカレの参加標準記録を突破、思い切って三段跳に転向した。大学3年時のインターハイでは2位となるなど着実に成長を遂げた。

また、2017年からは幼い頃からの夢である“オリンピック出場”のためにボブスレーにも挑戦。ワールドカップに日本代表として出場するなど実績を積んで冬季五輪への出場を目指したが、コロナ禍ということもあり三段跳との“二刀流”は断念したという。「五輪への道のりは簡単なものじゃないんだな」と感じた一方で「日本代表を背負って戦う責任感であったりをすごく学べた」と前向きに振り返る。

ボブスレーへの挑戦は森本に思わぬ副産物も与えてくれた。この時の縁で知り合ったドイツ人コーチにトレーニングメニューに関してアドバイスをもらうようになってから、三段跳の記録が飛躍的に向上したのだ。年々記録を伸ばしていき、昨年の日本選手権では14m16の跳躍で、日本記録を24年ぶりに更新。世界陸上ブダペスト大会に日本女子三段跳選手としては2007年以来となる出場も果たした。

世界のジャンパーは14m50を超える記録を持つ強敵だらけだが、森本は、「ドイツ人コーチの話だと、14m50も十分狙える才能があるっていうふうにお話していただいている。パリでは日本記録、自己ベストを超えて決勝に駒を進めたい」と話す。
三段跳は、織田幹雄さんが1928年のアムステルダム五輪で、日本人史上初めて金メダルを獲得した言わば“お家芸”。森本も「三段跳は本当に歴史のある種目。ぜひ日本の皆様に観ていただきたい」と意気込んでいる。

■森本 麻里子(もりもと・まりこ)
1995年3月17日生。大阪府出身。173㎝。太成学院高校→日本女子体育大学。現在の所属はオリココーポレーション。

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