パリオリンピック™で52年ぶりとなる金メダルの獲得を目指してきたバレーボール男子日本代表が、5日の準々決勝でイタリアに敗れた。2セットを先取してから迎えた第3セットは、マッチポイントを奪ってからあと1点が遠く、逆転負け。1076年モントリオール大会以来、48年ぶりのベスト4はならなかった。
試合後には、今大会をもって退任を表明しているフィリップ・ブラン監督が、コート上で涙を流す石川祐希主将(28)ら、戦い抜いた選手たちを抱きしめ言葉を交わした。試合を振り返った石川は「僕が最後決めきれずにこのような結果になってしまったので、そこは非常に責任を感じている部分と、あとはみんなに感謝している部分が、混じってるような気持ち」と複雑な胸中を明かした。
「3年間バレーにつぎ込んできました」と目を潤ませながら話したのは、髙橋藍(22)。支えてくれた家族の話になるとこみ上げる涙を抑えられなかった。西田有志(24)は「東京よりもこっち(パリ)の方が難しかったですし、これがバレーボールだな」と感じたと話した。
【以下、各選手コメント】
好守で貢献した髙橋藍選手
Q.このパリでの時間、大会は高橋選手にとってはどんな時間でした?
髙橋藍:予選からチームとしても苦しい状況が多くて、何とか予選通過して、ここまでこられたんですけど。本当に今日、すべての選手が気持ちを切り替えて、非常にいいバレーボールができたと思いますし、本当に笑って、結果がどうであれ・・・もちろん勝ちにいく気持ちは一番にありましたけども、とにかくこの舞台を楽しんでやるっていうところを決めてやってたので。みんなコートの中で今まで以上に強い日本男子バレーが出せたと思いますし、勝てなかったところだけが、本当に悔やまれる部分なので。また強くなるために考えていく必要があるかなと思います。
Q.東京オリンピックが終わってからのこの3年間は日本代表が大変強くなって世界ランク2位まできた。この3年間は、ご自身そして仲間にとってどんな時間?
髙橋藍:本当に自分自身は特に東京オリンピックってところが本当に悔しい思いで終わってたのでそれはほとんどの選手がそうだと思うんですけど。ほんとにここで勝つために3年間バレーにつぎ込んできましたし、いろんなことを犠牲にしながら、家族に会えない部分であったり、本当に遠いところからいろんな人にサポートしてもらって、3年間やってきて、この舞台に臨んだので自分自身全てやってきたと思ってますし、この3年で成長できる部分ってところは、もう常に高い意識持ってやってたので。でも勝つために、まだまだオリンピックで勝つためにはもっともっと成長しないといけないですし、本当に次に向けて切り替えて、いかないといけないなと思います。
Q.今日ベンチには昨年がんで亡くなった(元日本代表セッターの)藤井直伸さんの写真も飾っていらっしゃいました。
髙橋藍:もう今日藤井さんを一緒にベンチに置いて、一緒に戦おうというところで。やっぱり藤井さんが立ちたかった舞台ってところがあって、本当に一緒に常に戦ってますし、今日も一緒に藤井さんとイタリアに勝ってメダルを取りに行こうっていう思いで皆戦っていたので。今回藤井さんにメダルを見せること、一緒に取ることはできなかったんですけど、でもまだまだこれから一緒に戦っていけるので、藤井さんとともに強くなった日本代表で、この舞台に戻ってきたいなと思います。
イタリア戦で32得点のエース・石川祐希主将
Q.キャプテンとして戦ったこのパリオリンピックの舞台、自身にとってはどんな大会になったでしょうか?
石川:そうですね。メダルを目指して戦ったこのパリオリンピックだったんですけど最後にこのような結果で終わってしまって。チームのみんなは非常に頑張ってくれたと思いますし、僕についてきてくれて、球を託してくれたんですけど、僕が最後決めきれずにこのような結果になってしまったので、そこは非常に責任を感じている部分と、あとはみんなに感謝している部分が、混じってるような気持ちです。
Q.東京オリンピックで悔しい思いをして、このパリでの目標を掲げる中で、大きく成長もあったと思います。この仲間たちとの時間はどんな時間だったでしょう。
石川:ここに懸けてきたんですけど、結果が全てだというふうに思いますし、・・・言葉がなかなか出てこないですけどそれでも今までやってきたことっていうのは間違いではないですし、オリンピックでは結果がつかめなかったですけど、その前の大会(ネーションズリーグ)だとかはいろいろとステップアップしてきて。最後、「この大会」っていうふうに心を決めて臨んだんですけど結果がこうなので、まだまだ力不足だったなっていうふうに思います。
Q.また次の目標、また少し見える部分もあると思うんですが、これからの目標というのを今聞かせていただいてもいいでしょうか。
石川:そうですね。今回負けてしまったので非常に悔しい気持ちですし、このあとまだ、ブラン監督も終わりなので先が全く見えないですけど、また強くなって戻ってくるしかないというふうに思いますし。とにかくスタッフ含め、チームメイトに感謝の気持ちでいっぱいです。
左のエースとしてチームを支えた西田有志選手
Q.試合を振り返って
西田:本当に難しさは感じてましたし、でも自分たちがやりたいバレーをずっとやれていて、勝てるんじゃないかっていう試合でもあったと思うんですけど。そういう勝てるんじゃないかっていう気持ちは誰1人持ってなくて、常にこの次の1点をどう取るのかっていう意識をして、戦ってた部分ではあったんですけど。何かが狂ったわけじゃなくて真っ向勝負で戦って、取られて取っての繰り返しの試合ではあったと思うので、このチームはもう本当になんですかね、僕は最高でしたし、結果に届かなかったことはすごく悔しい部分ではありますけど、今日のバレー内容で勝てないのは、もう全員が出し切ったんじゃないかなって僕は思ってます。
Q.女子バレーの皆さんの思いも背負ってというところもあったと思います。妻の古賀紗理那さんもご覧になっていましたよね。
西田:そうですね、そこら辺は奥さんがどういうふうに思ってるかわからないですけど。そうやって応援してくださることはすごくありがたいですし、その中で負けてしまったところはなんですかね、結果に繋げたかったっていうのが本音ではありますけど。そういった応援してくださることっていうのも当たり前じゃないっていうところも噛み締めながら、今日プレーしたので、応援してくれたことはありがたいなと思います。
Q.今回で2大会連続のベスト8となりましたが、パリを振り返っていかがでしたか。
西田:本当に東京よりもこっち(パリ)の方が難しかったですし、これがバレーボールだなって感じながらも、今日の試合っていうのは全員が楽しみながらやりながらっていう内容ではあったと思うので。そこはしっかりとなんですかね、思い出に刻むべきだと思いますし、次何をするのかっていうのは、自分たちが持ってる能力は出し切ったと思うんでそこは良いポイントとして持って、次に進むために、また新たな一歩進みたいなと思います。
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