決勝のための新たな“戦略”

“打倒・中国のためのオーダー”

それは今大会、準決勝まで勝ち上がってきたオーダーとはまったく違うものでした。

1回戦から準決勝までは、エースの早田ひな選手と同い年の平野美宇選手がダブルスを組んで第1試合で着実に勝利をつかみ、シングルスには世界ランキング8位まで急成長を遂げた16歳の張本美和選手を2試合に起用するオーダーで勝ち上がってきました。

迎えた中国との決勝。

早田選手と張本選手がダブルスを組み、第2試合のシングルスでは中国のエース・孫頴莎選手に唯一勝ったことがある平野美宇選手を起用。

そして、第3試合のシングルスに中国が王曼※イク選手を起用すると見越して、過去の国際大会で敗れたものの互角の試合をした張本選手をあて勝利を目指すという戦略でした。

(※イクは日の下に立)

第1試合 早田・張本ペア

第1試合、早田選手と張本選手のペアは、中国ペアを相手に互角に渡り合います。しかし、ゲームカウント2対2として最終第5ゲーム、9対5と、勝利まであと2点にまで迫りながら逆転負けを喫しました。

第2試合 平野 シングル

続く第2試合、平野選手は孫選手を相手に、第1ゲームの序盤は7対1と大きくリードしましたが、そこから逆転されて主導権を奪われると、0対3でストレート負け。

第3試合 張本 シングル

第3試合、張本選手は得意のバックハンドを随所に決めるなどし、第1ゲームは奪いましたが、第2ゲームでデュースの競り合いを落とすと、そのままゲームカウント1対3で敗れました。

中国の高い壁 2大会連続の銀

日本は戦略を練って立ち向かったものの、またも中国の高い壁に跳ね返され2大会連続の銀メダルでした。

試合後、渡辺監督は「中国に勝つには、第1試合のダブルスをとれなければ厳しい。ことし2月の団体の世界選手権で2勝3敗で惜敗し、オリンピックで優勝したい、勝ちたいと思っていたが、そう簡単ではなかった。まだまだ中国とは差があると思い知らされた」と話しました。

そのうえで中国との差について「技の正確さ、競り合ってる中で良いプレーをコンスタントに出せる。日本は良いプレーもたくさんあるが、やはり大事なところで打ち負けてしまう、失点してしまうというのがまだまだある」と敗因を分析しました。

エースの早田選手は「勝つならばこのオーダーだったと思う。第1試合のダブルスで、あと2点と、勝ちが見えた時に自分たちの戦術が定まらず、本当にちょっとした迷いが逆転された要因かなと思う。そういった勝負どころの強さというのは私たちと中国人選手の差が出たと振り返りました。

「4年後のロサンゼルス五輪でリベンジ」見えた光

結果を見れば1試合も勝利をつかめませんでしたが、「光明はある」と渡辺監督は話します。

それは、中国選手との長いラリーを日本選手が制する場面が目立った点です。

特に16歳の張本選手は、第1試合のダブルス、第3試合のシングルスともに、中国選手を相手に長いラリーにも競り負けず、最後は得意のバックハンドから得点を挙げるシーンが何度も見られました。

渡辺監督は「3選手ともラリーを制して、中国選手から得点を奪うシーンがたくさんあったので、これは次につながる大きな成長。中国もまた強くなっていくと思うので、私たちもそれを上回る努力をしないといけない」と話しました。

試合直後、渡辺監督は3人の選手に「4年後のロサンゼルスでリベンジしよう」と声をかけたといいます。

打倒・中国、そして金メダル獲得へ。

日本の女子卓球界を引っ張る3人がさらなる成長を遂げるための貴重な敗戦と言えます。

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