(19日、第106回全国高校野球選手権大会準々決勝 神村学園8ー2大社)

 試合前夜、神村学園の小田大介監督は選手を集めた。

 「甲子園に魔物はいると思っているかもしれないが、私はいないと思っている。いるとするなら、自分自身の心が生み出したもの」

 相手は、激戦を勝ち上がってきた大社。甲子園の大観衆を味方につけた公立校に対し、この日の先発・エース今村拓未は本来の投球ができない。一回は先頭への四球から失点し、四回は自身の悪送球で同点に。無死二、三塁を迎えた。

 ここで、二塁手の増田有紀は集中していた。次打者のゴロを捕球すると、「体が勝手に動いた」。すばやく本塁へ投げ、三塁走者をタッチアウト。なお1死一、三塁から次打者の二ゴロも再び本塁でタッチアウトにし、最後まで勝ち越しを許さなかった。

 その後も守備陣は要所で好守を見せ、2年連続の4強入り。試合当初、増田も相手の応援に戸惑ったというが、「意外と冷静だった。守備の基礎練習は何度も何度も、徹底してやってきたので」。

 仲間と流した汗は、大舞台の重圧をも超えていく。(室田賢)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。