マット・スタッツマン選手とは
今大会、アーチェリーの男子個人コンパウンドに出場しているアメリカのマット・スタッツマン選手は、生まれたときから両腕がなく、右足の指の間に弓を挟んで構え、体に装着した器具を使って弦を引いた上で、顔のわずかな動きで矢を放ちます。
初めて出場した2012年のロンドン大会では銀メダルを獲得し、パラリンピックを象徴する選手の1人として知られています。
アーチェリー競技で“両腕がない選手どうしが初対戦”
大会3日目の30日に行われた1回戦で、スタッツマン選手はその活躍に触発され2022年に競技を始めたという、同じく両腕がないメキシコのビクトル・サルディナ ビベロス選手と対戦しました。
アメリカオリンピック・パラリンピック委員会によりますと、パラリンピックのアーチェリー競技で両腕がない選手どうしが対戦したのは初めてのことです。
雨が降りしきる中、スタッツマン選手は50メートル先に設けられた直径80センチの的を正確に射ぬき、序盤から5本連続で満点の10点を出すなど主導権を握り、サルディナ ビベロス選手の追い上げをかわして142対136で勝ちました。
試合後、2人は右足を合わせて健闘をたたえ合い、観客の拍手と歓声に笑顔で足を振って応えていました。
3大会ぶりのメダルを目指すスタッツマン選手は1日、2回戦に臨みますが、長年にわたる競技の影響でけがに苦しみ、41歳で迎えた今大会が最後のパラリンピックとなる可能性が高いと明らかにしています。
スタッツマン「競技を成長させることが私にとっての金メダル」
それでも今大会のアーチェリーには両腕がない選手が初めて自分以外に3人出場しているとした上で「3人には私が習得したコツをすべて教えている。競技を成長させることが、私にとっての金メダルのようなものだ」と話し、今後、同じような障害のある選手の参加がさらに増えることを願っています。
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