左脚を失ったウクライナ選手や荒廃したガザ地区でトレーニングを重ねた選手など様々な苦難やハンデを抱えた障がい者たちのスポーツの祭典が開幕。パラリンピックならではの競技や健常者の世界記録を破ることが期待される種目など今大会の魅力を手作りフリップで解説します。

シンボルは「スリー・アギトス」

凱旋門に掲げられたパラリンピックのシンボルは「スリー・アギトス」。「アギト」とはラテン語で「私は動く」という意味で、挑戦し続ける選手を表現しています。

今回、ロシアによる侵攻で左脚を失ったウクライナ選手が出場するほか、パレスチナ・ガザ地区から唯一、参加する砲丸投げの選手は、イスラエル兵に狙撃され、半身不随になりながらも、瓦礫を使って練習を重ねて来たと言います。こうした選手も含めパリ大会には、史上最多の168の国と地域(難民選手団含む)から、およそ4400人のアスリートが参加しています

パラならではの魅力

このほか、今大会で注目が集まっているのが、男子走り幅跳びです。現在、健常者の世界記録は8m95cm。これを義足のレーム選手が記録を更新するか期待が高まっています。人類初の9m超えが見られるかもしれません。

日本代表は、過去最多の52個を超えるメダル獲得を狙っています。日本勢の金メダル1号となった水泳の鈴木選手は「SB3」と示されますが、これは「平泳ぎ」で、手足を自由に動かせないなどの「身体機能に関する障がい」の、上から3つ目に重いクラス。今大会は障がいの「種類」や「程度」によって、14のクラスに分けられています。公平性を確保するため、こうしたクラス分けが 細かく行われるのが、パラリンピックの特徴です。そのため、競技の数は22でも種目は549に上るのです。

注目の日本人選手は…

今回、日本からは、東京大会で金メダルを獲得した11人のうち10人が参加。出場していないのは、引退表明した車いすテニスの国枝さんだけです。新たに「日本の顔」ともなっているのが、18歳の小田凱人選手。すでに四大大会で4勝をあげ、世界ランキング2位の優勝候補です。小田選手は、プロを目指すサッカー少年でしたが、9歳の時、骨にできる「がん」、骨肉腫が見つかり、車いす生活に。サッカー選手の夢をあきらめる中、希望を与えられたのが国枝選手のプレーで、「車いすテニスをやりたい」と心から思ったと言います。小田選手だけでなく、様々な苦難を乗り越えてきた選手たちは、パリの舞台で、勝ちどきを上げることは、できるのでしょうか。

(サンデーモーニング2024年9月1日放送より)

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