8メートル72センチの世界記録を持ち、パラリンピック3連覇中のレーム選手は、2回目の跳躍で8メートル4センチをマークしました。

その後、5回目の跳躍では8メートル13センチとさらに記録を伸ばし、2012年のロンドン大会から4大会連続となる金メダルを獲得しました。

銀メダルは7メートル79センチでアメリカのデレク・ロクシデント選手、銅メダルは7メートル49センチをマークしたアメリカのジャリド・ウォレス選手でした。

圧倒的なジャンプで観客を魅了

「今まで足が2本の人でも成し遂げたことのないことをしたい」

圧倒的なジャンプで大勢の観客を魅了したのは、パラ陸上界のレジェンドで「ブレード・ジャンパー」の異名で知られる、36歳のマルクス・レーム選手です。

そのパフォーマンスは、パラアスリートの可能性を改めて世界に示してくれました。

8メートル72センチの世界記録を持ち、オリンピックの走り幅跳びの金メダリストの記録を上回ったこともあるレーム選手。

パリパラリンピックで挑んだのが、アメリカのマイク・パウエルさんの持つ走り幅跳びの世界記録、8メートル95センチを超える、前人未到の9メートルです。

「私は義足をつけているが、それは私が弱いとか他人より劣るということではない。私たちパラアスリートが活躍することで、障害があってもこんなことができると世界に示すことができる」

パラリンピックに目を向けてもらうため、健常者を超える跳躍を目指してきました。

2回目の跳躍、観客に手拍子を求めたレーム選手。

力強く踏み切った瞬間、観戦していた人たちが一斉に立ち上がり、大きな歓声をあげます。

出場選手の中で唯一8メートル台となる8メートル4センチをマークしました。

そして5回目。

8メートル13センチまで記録を伸ばすと、ひときわ大きな歓声が上がりました。

跳躍を終えたレーム選手は、最後まで声援に応えると、写真撮影にもにこやかに応じ、パフォーマンスだけでなく、その人柄でも観客を魅了しました。

私たちの取材に、レーム選手はこう話してくれました。

「パラリンピアンの可能性をもう一度示せたと思う。自分のパフォーマンスを通して苦しんでいる人たちすべてにメッセージが伝わればいい」

目指していた9メートルのジャンプはなりませんでしたが、すべての思いを込めたレーム選手のパフォーマンスは、パラアスリートの可能性を改めて世界に示してくれました。

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