北京オリンピック・スキージャンプ金メダリストの小林陵侑選手が24日、アイスランドの特設スキージャンプ台で、291mの飛距離を記録し世界新記録を樹立した。これまでの記録を37.5mも上回った。

偉業達成の背景にはヒルサイズ(安全に着地できるランディングエリアの限界点)が300m級のスキージャンプ台がもともと存在しないという制約を打破するための挑戦があった。

小林陵侑選手はこれまで32の個人タイトルと2度のW杯総合タイトル、五輪では2つメダルを手にしていた。十分すぎる栄光を手にしてきた小林選手だが、自身が語る長年の夢は「限界突破」であった。
その夢を後押しするため今回、エクストリームスポーツの大会などを手掛ける「レッドブル」はアイスランド北部の雪山に、標高1115m、高低差360m以上、最大傾斜36度の急こう配という、特設のスキージャンプ台を建設した。小林選手の為だけの専用のジャンプ台である。
「レッドブル」によると通常のラージヒルのジャンプ台は約140m、スキージャンプで最大のフライングヒルでも185mということから、この特設ジャンプ台の巨大さがうかがい知れる。

今回のジャンプでは、小林選手が離陸する瞬間の最高速度は約107km/hに達し、空中を約8秒間もの間飛行した。通常のラージヒルでは4〜5秒程度の飛行時間であるとのことから、まさに前人未到の最長不倒だったといえる。

小林選手はこの記録について「長年の夢でした。誰よりも遠くへ飛んでみたいと常に思っていましたし、スキージャンプの限界を押し広げ続けたいと考えていました。今まで経験したことのない規模感でした。最高のチームに恵まれ、夢が叶いました」と語った。

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