ことし1月に就任した日本代表のジョーンズヘッドコーチは、大学生など若手選手の育成に力を入れていて、大学でトップクラスの選手たちを「JAPAN TALENT SQUAD」として認定し、日本代表の練習や体づくりの手法を伝えるプログラムを始めました。

25日は都内で初めての練習が行われ、京都産業大のフォワード、石橋チューカ選手や、フルバックやウイングでプレーする早稲田大の矢崎由高選手など14人が参加しました。

選手たちはジョーンズヘッドコーチから直接指導を受け、密集での動き方やタックルに入る時の手の向きなど細かい部分のアドバイスを受けていました。

また、食事面についても練習中にタンパク質を補給するためにプロテインが3回にわたって提供されたほか、昼食では鶏肉やサバなどが入った栄養バランスを考えた特製の弁当が用意されました。

さらに、体重を増やす必要がある選手は、追加でおにぎりを数個食べるよう指導されていました。

ジョーンズヘッドコーチは「2027年と31年のワールドカップを見据えて若いタレントをしっかりと育成していきたい。日本代表への扉は確実に開いているし、4、5人の選手はこの先1年の間に日本代表でプレーする力がある」と評価しました。

そのうえで練習後に選手たちと1対1の面談をした際のエピソードを紹介し、「1人の選手が『6月のテストマッチのイングランド戦に出場するにはどうしたらいいか』と聞いてきた。すばらしい質問だ。日本でいい選手になりたいというのではなく、世界一の選手になるという強いハングリー精神を持った選手を欲している」と今後の成長に期待を寄せていました。

終始、笑顔のエディー その狙いは!?

エディー・ジョーンズヘッドコーチと言えば、2015年のワールドカップ前の合宿での厳しいコーチングが当時、話題となりました。

その指導は心身両面で選手たちを追い込み、屈強な選手たちが「地獄」「2度とやりたくない」と口をそろえるほど厳しいものでした。

しかし、今回は違いました。20歳前後の選手たちに対して終始笑顔で「上手!」「うまい!」など、日本語で何回も褒めことばを繰り返しました。

その笑顔の真意について尋ねると、「20年前のコーチングは『これをやりなさい』と言えばみんなそれをやるスタイルだった。しかし、今の若い世代へのコーチングは、彼らの強みをいかに引き出すかという手法に変わっている。いくつかの選択肢を与えて、それを自分自身で選んでやってもらうようにしている」と話し、時代の変化に合わせて指導方法を変えていることを明かしました。

京都産業大の石橋選手は、初めて接したジョーンズヘッドコーチの印象について「めちゃくちゃ優しい。細かいところまで指導してくれてすごくうれしかったし、楽しくラグビーができた」と話しました。

また、早稲田大の矢崎選手も「すごく厳しいと聞いていたのでちょっとビクビクしながら来たが、優しい方だった。練習中はもちろん厳しい部分もあるが、ミーティングも堅苦しくなくすごく和やかな雰囲気だった」と口をそろえました。

次の練習は6月を予定しているということで、ジョーンズヘッドコーチは「彼らには宿題を与えた。それをやってこなかったら次は笑顔が無くなるかもしれない」と話し、最後は本来の“鬼コーチ”ぶりをのぞかせて報道陣の笑いを誘っていました。

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